ドイツ3部日本人アナリスト、3人の監督に学んだ指導術 「空気を読めない人は…」

指揮官に求められる風通しの良い現場作り

 それぞれの監督から様々なことを学ぶなかで、プロクラブの指導者として特に大事にすべきだと浜野が思っているのが、スタッフが監督とオープンにすべて話し合える環境を作ることだという。互いに何を求めているのか、その求めていることが可能かどうかを徹底的に話し合うことが重要になる。

「『ヨーロッパ(海外)では自分の意見を主張しないと一人前ではない』という考えがあると思うし、自分もそう考えていた。でもそうしたところだけではなくて、ドイツで年月を重ね、いろんな人と触れ合うなかで、ドイツでも『空気を読めない人は他人とのコミュニケーションで問題を抱える可能性がある』と考えるようになりました。実際に僕は向こうから一方通行のコミュニケーションになったことが、幸運なことに一度もないんです」

 現場の空気感をおざなりにすると後々、どうしても問題を抱えることになってしまう。そして最終的にそうした問題の責任を取るのは、監督自身になる。だから風通しの良い現場をクリエイトする腕も、指揮官には欠かせないのだ。

(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)



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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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