「チーム愛の熱量が違う」 メキシコに学ぶ“女子プロリーグ”成功の鍵、現地日本人の視点

男子のトップチームと同じ施設を使い、筋力トレーニングを行うケレタロの女子の選手たち【写真:福岡吉央】
男子のトップチームと同じ施設を使い、筋力トレーニングを行うケレタロの女子の選手たち【写真:福岡吉央】

SNSで積極的に発信、フォロワー数194万人超えの選手も…

 かつて、なでしこ2部のバニーズ京都SCでGKコーチ、U-18監督、マネージャーなどを歴任し、現在ケレタロのU-16でアシスタントコーチを務める給田洋右氏も、当時をこう振り返り、サポーターの影響力を強調する。

「バニーズで仙台に遠征した時に、同じようにベガルタのサポーターが大勢スタンドにいて、360度から手拍子が聞こえてきた。完全アウェーだった。雰囲気がほかの試合とは違った。これがJリーグに男子チームを持つクラブの強みかと思った。浦和などもそうですが、日本もJリーグのチームがもっと女子チームを持てば、より集客にもつながっていくと思います」

 18-19シーズンまでは、リーグを南北2つに分けていたが、19-20シーズンからは総当たりとなった。試合は男子の開催日とは被らないように設定され、平日開催も多いことから、入場者数は1万人を超える試合もあれば、数百人の時もある。入場料は50ペソ(約250円)前後と男子に比べれば安い。無料の試合も珍しくないが、メキシコではスタジアムでのビールの消費量が多く、クラブとしては飲食も大きな収入源となっている。試合の中継も約半分のカードで行われており、スポーツ専門チャンネルや地元局、クラブの公式フェイスブックなどで観戦が可能だ。

 女子選手の露出の多さも、人気の要因となっている。各クラブは公式SNSで、男子とともに女子についても頻繁に情報をアップする。また、個人でSNSを積極的に使い、自ら発信している選手も多い。特に人気なのが、メキシコ代表歴もあるチーバスのFWノルマ・パラフォックス。ゴールを決めた後、片足を軸に腰をくねらせながら1周するセクシーなパフォーマンスで、一躍脚光を浴びるようになった。このパフォーマンスは元々、チーバスの男子選手がやっていたものだったが、本家顔負けの腰の動きにサポーターも大喜び。今ではインスタグラムのフォロワーが194万人を超えている。

 塩沢氏はこう分析する。

「まだまだリーグのレベルは発展途上ですが、メディアの露出もあるし、プレー以外にも選手の容姿にも関心が集まり、アイドル的な視点でも注目度が高くなってきている。メキシコ人は自分の写真をSNSに載せるのが好きだし、露出が高いことも気にしない。いろんな要素が重なって、今の人気が出てきたんだと思う」

 男女のフィジカルの違いもあり、例えば女子がリーグ下位に低迷しているケレタロでは、実力的には男子のU-15、U-14が女子に大勝するレベル。だが塩沢氏は、「選手全体の年齢が上がっていくので、今後は段階的にオーバーエイジ枠も増やしていくと思うし、将来的に外国人もプレーできるようにすれば、対戦するDFの経験値も上がる」と、まだまだ成長の伸びしろがたくさんあることを強調する。

 給田氏もリーグの将来は明るいと見ている。

「もちろんフィジカルは男子よりも劣るけど、女子の試合は男子と同じスタジアムでやるから華やかだし、ゴールが入ると盛り上がる。選手もやっていて気持ちいいと思う。テレビでの中継もあるし、見にきた女の子も選手たちの姿を見て、サッカーをやりたいと思うようになる。お客さんも入っていますし、華やかなことは大事だと思います」

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