サッカー選手とマウスガード 元磐田MF太田吉彰、引退後も貫く「誰かのために」の信念

スポーツに恩返しをするべく自身のセカンドキャリアを歩んでいく【写真:本人提供】
スポーツに恩返しをするべく自身のセカンドキャリアを歩んでいく【写真:本人提供】

「誰かのために」という信念が源 世界で活躍するNeutral着用アスリート輩出を目指す

「Neutral」の主な使用選手には、セルビア1部パルチザンでプレーする日本代表FW浅野拓磨だけでなく、2016年に行われたリオデジャネイロ五輪の女子レスリングで金メダルを獲得した登坂絵莉(48kg級)や土性沙羅(69kg級)、2019年のラグビーワールドカップで一世を風靡した日本代表の流大、姫野和樹、松島幸太朗、山中亮平ら、各競技のトップアスリートが名を連ねる。そのほかにも、太田の古巣である磐田の選手やサンフレッチェ広島のMF川辺駿、今年3月には浦和レッズのFW武藤雄樹もマウスガードを作成している。

「スポーツ界に恩返しがしたい」――。その思いとともに太田氏を突き動かすのは、仙台時代に東日本大震災を経験した際、たくさんの人々に支えてもらったことで一層強くなった「誰かのために」という信念だ。

「正直、若い頃は自分勝手な選手で、海外に行く前までは自分が点を取れればいい、活躍できればいいという考えでした。海外で契約を勝ち獲れず、仙台での最初の1年間もあまり活躍ができなかったなかで、震災が起きてしまった。(復興支援活動で)被災地を回った時に応援してもらって、『チームのために』『応援してくれる人たちのために』というプレースタイルに変わったんです。

 引退後もその気持ちは忘れたくない。大学生を支援して怪我をする選手を減らす、パフォーマンスを上げてもらうのが、恩返しの第一段階です。僕が目指すのは、Neutralのマウスガードを着けているアスリートが世界で活躍すること。Jリーグだけでなく、オリンピックやワールドカップのような国際大会の舞台に立つ選手に広まっていけばいいなと。トップアスリートの活躍を支えていきたいと思います」

 指導者やクラブスタッフ、解説者といった既存のアプローチとは異なる方法で、太田氏はセカンドキャリアを力強く歩み始めた。

※取材は4月9日に電話にて実施。

[PROFILE]
太田吉彰(おおた・よしあき)/1983年6月11日生まれ、静岡県出身。176センチ・72キロ。磐田ユース―磐田―仙台―磐田。J1通算310試合36得点、J2通算39試合4得点。トップ下やFW、サイドハーフなど攻撃的なポジションをマルチにこなす鉄人として活躍した。2007年にはイビチャ・オシム監督が指揮する日本代表にも選出された。2019年限りで現役を引退し、古巣・磐田のアドバイザーを務めるとともに、マウスガードの普及と大学アスリート支援プログラム「JCAP」に取り組む。

(FOOTBALL ZONE編集部・小田智史 / Tomofumi Oda)



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