劇的リオ五輪出場の裏にあった苦渋の決断 手倉森監督が岩波をベンチに置いた理由

ラインコントロールに優れた奈良の抜てき

 アジアの壁に阻まれ続けてきたリオ世代がついに世界への切符をつかみ取った。リオデジャネイロ五輪アジア最終予選を兼ねたAFC・U-23アジア選手権準決勝でイラクを2-1で撃破し、五輪出場権を手にした。終了間際の決勝点を挙げた劇的な幕切れの裏では、手倉森誠監督の決戦前の大きな決断があった。

 後半アディショナルタイムに川崎MF原川力の決勝弾で同一カード3連敗中だったアジアの宿敵相手に勝利をつかんだ。指揮官は、この死闘を「劇的過ぎる」と、振り返った。

 試合前に運命の決断を下した。センターバックの主力である 神戸DF岩波拓也を外し、今季から川崎へ移籍したDF奈良竜樹を先発に抜てきした。狙いは奈良の最終ラインの調整能力だったという。

「ラインコントロールでのけん制は竜樹が一番メリハリがある。それを3人が高め合っている。だから岩波にはローテーションでいく、と言っていた。もちろん決勝は岩波でいく。2つのポジションを3人でローテーションしていく時に、いい経験にもなるし、いいコンビも生まれる」

 イラクは、ロングフィードの場面で、ヘディングに強い鹿島DF植田直通ではなく、奈良を狙い撃ちにしていた。奈良はクリアミスなど危ない場面もあったが、何とか1失点に抑えた。指揮官の期待に応えて最後の最後で踏ん張った。

 

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