躍動する鎌田大地、“高速アタック”で放つ輝き 絶妙スルーパスに見えたドイツでの進化

フランクフルトMF鎌田大地(中央)【写真:Getty Images】
フランクフルトMF鎌田大地(中央)【写真:Getty Images】

【ドイツ発コラム】EL敵地のザルツブルク戦、絶妙なスルーパスで同点ゴールを演出

 UEFAヨーロッパリーグのラウンド32第1戦を4-1で勝利していたフランクフルトが、圧倒的に優位な立ち位置にいるのは誰の目にも明らかだった。だからといって、ザルツブルクは諦めたりはしない。この状況からでも試合展開が上手くはまれば、ホームでの逆転は十分に可能。それを試合開始から見せてきた。前線からのハイプレッシャーでフランクフルトを自陣深くに追い込むと、前半10分にオーバーラップしていた左サイドバックのDFアンドレアス・ウルマーが強烈な左足シュートで先制ゴールを奪ったのだ。

 スタメン出場していたフランクフルトの日本代表MF鎌田大地は、このシーンを反省とともに振り返る。

「相手のシュート自体もいいシュートだったし、その前に僕が球際のところでもっと上手く、違うようにはできたと思う。僕自身はあの点に関して、少し改善しないとダメかなと思います」

 ウルマーにパスが渡る前、鎌田にはボールカットするチャンスがあった。ただ、ボールに寄せる鋭さが相手のほうが明らかに速く、そこからのパスを許してしまった。

 大事な試合の大事な序盤。ザルツブルクに狙い通りの展開に持ち込まれそうになっていた。相手はさらに猛攻を仕掛け、2点目を狙いにくる。このままでは危ないかと思われていたが、鎌田は冷静に試合の流れが変わる瞬間を探っていた。

「相手もリスクをかけてやってきていたので、仕方ない部分もある。そのぶん、カウンターとか、ウチとしては上手くできていた」と、自分たちのチャンスをじっと待っていた。そしてその言葉どおり、カウンターから決定機に絡んでいく。

 前半18分、相手が自陣でパスミスを犯すと、そこからフランクフルトは素早いパス交換でゴール前に迫る。MFフィリップ・コスティッチのパスに飛び込んだのは鎌田。このシーンでは好タイミングで飛び出してきた相手GKにブロックされたが、同30分のシーンでは見事に同点ゴールが生まれた。

 鎌田が敵陣のセンターサークル付近で味方がカットしたボールを受けると、ワンタッチで相手のプレスをかわし、次のタッチで左サイド裏のスペースへ絶妙なスルーパスを送る。抜け出したコスティッチがダイレクトでゴール前にクロスを入れると、ニアサイドにタイミング良く走りこんだFWアンドレ・シウバがヘディングで豪快に決めた。

中野吉之伴

1977年生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで様々なレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA-Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2016-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。『ドイツ流タテの突破力』(池田書店)監修、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)執筆。最近はオフシーズンを利用して、日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。

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