ボタフォゴ本田圭佑が戦う「リオ州選手権」とは? 現地在住の日本人FW、過酷な“環境の差”証言

ビッグクラブ同士の一戦は「クラシコ」と呼ばれ、選手には大きなプレッシャーがかかる(写真は昨季のボタフォゴ対フラメンゴ)【写真:Getty Images】
ビッグクラブ同士の一戦は「クラシコ」と呼ばれ、選手には大きなプレッシャーがかかる(写真は昨季のボタフォゴ対フラメンゴ)【写真:Getty Images】

試合の環境ごとに変わるチーム戦術「そんな環境でもつなごうとする選手も…」

――チームの戦い方も、試合ごとに変わってきそうですね。

「そうなんです。試合の流れの作り方も、ピッチに応じて変えていかないといけないんです。デコボコのピッチだと、グラウンダーのパスがイレギュラーするので、浮かしたパスを出したりしますし、セットプレーがメインの展開になる。ピッチが悪い場所で試合をする時は、監督も『こぼれ球を意識して、セカンドボールを奪うように!』と指示を出します。DFは相手のボールを奪った後も、イレギュラーのリスクを避けて、無理にパスでつなごうとせず、中盤を省いてロングボールを前線に放り込むことが多い。そういう臨機応変な対応力が求められます。監督も、どのスタジアムがどういう環境かというのは分かっているので、対戦カードごとに戦術を決めて練習します。

 ピッチコンディションが悪いことには、もう慣れましたけどね。ただ、中にはそんな環境でもつなごうとする選手もいます。その対応能力は凄いと思いますね。ロッカールームも、小さいスタジアムだと水シャワーが1つ、2つしかないので、試合後、みんなで裸になって順番に待っていたりする。2部になるともっと酷くて、ロッカールームに8人入ったらいっぱいで、選手全員が入れないくらい小さなところもありました」

――ビッグクラブのスタジアムは?

「ピッチコンディションはいいですね。フラメンゴとフルミネンセが本拠地としているマラカナンは、設備もずば抜けています。シャワーはお湯が出るし、ジャグジーもある。選手ロッカーにはクーラーもついている。ヴァスコ・ダ・ガマのスタジアムはロッカーは広いですが、クーラーやお湯はない。まあ、暑いからお湯よりも水シャワーのほうがいいんですけどね。ヴァスコのスタジアムはスラム街にあって危ないです。バスでスタジアムに入る時も石を投げられたり、やじを飛ばされたりしました。ボタフォゴのスタジアムは当時は改装中で、僕の時は別のクラブのスタジアムを借りて使っていたので今のスタジアムについては知らないですが、環境はいいと思いますよ」

――ブラジル人選手も、そうした環境の違いは感じているのでしょうか?

「フラメンゴの右サイドバックに、2018年までバイエルン・ミュンヘンでプレーしていたラフィーニャというブラジル代表歴のある選手がいるんですが、彼もインタビューで『欧州はピッチコンディションが整っているからパスサッカーを求めてやっていたが、ブラジルの(グラウンドがデコボコの)環境では、いくら選手に技術があっても、その技術をピッチで出すことは難しい』と言っていました。ああ、やっぱり彼らも思っていることは同じなんだと思いましたね」

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