ボタフォゴ本田圭佑が戦う「リオ州選手権」とは? 現地在住の日本人FW、過酷な“環境の差”証言

リオ州選手権2部フリブルゲンセのFW東城利哉。かつては1部でもプレーした【写真:本人提供】
リオ州選手権2部フリブルゲンセのFW東城利哉。かつては1部でもプレーした【写真:本人提供】

大手テレビ局と放映権交渉がまとまらず「今年は資金的に特に大変」

――リオ州選手権のそれ以外のチームは?

「4つのビッグクラブ以外のチームは、資金力で劣るため、グラウンドコンディションは悪いです。スタジアムも照明が点灯しなかったり、照明がなかったりするので、ホームゲームは真夏でもデーゲーム開催になります。

 リオ州では他の州とは違い、1部リーグが終わった後の5月から州の2部リーグが始まるんですが、4月まで1部のチームにいた選手が、その後2部チームに移籍してプレーすることも珍しくありません。1部から4部まである全国選手権にも参加しているチームの選手は、州選手権が終わった後も試合があるので給料をもらうことができますが、そうでないチームの選手は仕事がなくなってしまうため、数カ月という短期の契約で試合のある他のチームに移るんです。ブラジルは2週間、あるいは1カ月ごとに給料が支払われますが、年俸制ではなく月いくらの契約。大会が終わればチームは解散するので、1年間ずっと試合のあるチームに所属していなければ、年間を通して給料をもらうことはできません。

 州リーグの試合はこれまで、大手テレビ局のグローボで放送されていたんですが、今年はフラメンゴとグローボの間で放映権料の交渉がまとまらなかったことから、グローボが州リーグの放映権を買わなかったため、テレビの放送がなくなってしまったんです。例年ならもらえていた放映権料が、今年はどのチームにも入ってこなくなってしまったので、財力のない弱小チームは今年は資金的に特に大変のようです」

――選手のレベルに、ビッグクラブとそれ以外で差を感じますか?

「みんな上手いです。僕は州リーグ1部はリオデジャネイロ州と、アヴァイ時代にサンタカタリーナ州を経験しましたが、クラブによって資金力の差はありますが、選手のレベルの差はほとんど感じませんでした。ブラジルには、無名でも上手い選手が本当にゴロゴロいます。感じたのは“環境の差”だけですね。

 ただ、ビッグクラブになればなるほど、負けられないプレッシャーはあると思います。4つのビッグクラブ同士の対戦は『クラシコ』と言われるんですが、ホームでのクラシコで大差で負けると、試合後、選手たちの乗ったバスがサポーターに囲まれたり、石を投げられたりすることもあります」

――“環境の差”とは、どのようなものですか?

「スタジアムのピッチやロッカーですね。 サンパウロ州なんかはお金のあるチームが多いので、グラウンドコンディションも良いのですが、リオは違います。ビッグクラブのスタジアムのピッチは状態が良くても、そうでないチームのピッチはデコボコだったり、芝がはげていて土まみれだったりする。さらに、縦がやたら長かったり、逆に横幅が広かったりして、大きさもスタジアムごとに違うんです。横幅があるスタジアムだと、コーナーからゴールまでの距離が長くなるので、コーナーキックの蹴り方も変わってきます」

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