なぜボタフォゴは本田を獲得したのか Jクラブ監督経験者の幹部が語る“ケイスケ評”

エスピノーザ氏と新監督のパウロ・アウトゥオーリ監督(画面中央)【写真:藤原清美】
エスピノーザ氏と新監督のパウロ・アウトゥオーリ監督(画面中央)【写真:藤原清美】

鹿島などを指揮したアウトゥオーリ新監督も「多くの付加価値を与えてくれる」と期待

 本田のボタフォゴデビュー戦に向けては、3月1日にスタートするリオデジャネイロ州選手権後期リーグの初戦ではないかと騒がれている。しかし、エスピノーザ氏は「すべてにおいては、ここぞという時がある」とし、そうした雑音を沈めようとしているようだ。

 ただ、本田の労働ビザや契約書の法的な処理など事務的な作業が完了する頃には、しばらく試合に出ていなかったコンディションも必ずや準備ができているはずだと想定している。

 本田獲得を歓迎していたアウベルト・ヴァレンチン監督が去った後、後任に就いたパウロ・アウトゥオーリ新監督は、日本の鹿島アントラーズやセレッソ大阪でも指揮を執った指揮官だ。

 そんなアウトゥオーリ監督も「彼は模範的なプロだし、我々にはそういうお手本となる選手が必要なんだ。それに、技術面でもチームに多くの付加価値を与えてくれるだろう」と期待を寄せる。

 チーム内でも歓迎ムードだが、エスピノーザ氏はやはり、本田への過剰なプレッシャーに配慮する。

「彼には、アドバイスというより『必要なことがあれば、私もみんなも手助けするから』というのを伝えたんだ。もちろん、通訳を介してだよ。何しろ、私が日本語で覚えているのは『コンニチハ』『アリガトウゴザイマス』、あとは大好きな『プリン』ぐらいだからね(笑)。そんなわけで私は一つ、確信していることがある。私と本田はこれから一緒に、たくさんのプリンを食べるってね(笑)」

 こうしてユーモアを交えて語り、見守る存在がある。熱狂、期待、プレッシャー、尊重、そして温かさのなかで、本田の挑戦が始まっている。

(藤原清美 / Kiyomi Fujiwara)



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藤原清美

ふじわら・きよみ/2001年にリオデジャネイロへ拠点を移し、スポーツやドキュメンタリー、紀行などの分野で取材活動。特に、サッカーではブラジル代表チームや選手の取材で世界中を飛び回り、日本とブラジル両国のテレビ・執筆などで活躍している。ワールドカップ6大会取材。著書に『セレソン 人生の勝者たち 「最強集団」から学ぶ15の言葉』(ソル・メディア)『感動!ブラジルサッカー』(講談社現代新書)。YouTubeチャンネル『Planeta Kiyomi』も運営中。

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