異色のキャリアのグッドルーザー 青森山田のエース神谷は選手権4強敗退も涙なし

「全国3位に胸を張って帰ります」と晴れ晴れ

 後悔のない、晴れ晴れとした顔がそこにあった。9日の第94回全国高校サッカー選手権準決勝で、國學院久我山高校(東京A)に1-2で敗れた青森山田高校(青森)のMF神谷優太は、全てを出し切った思いで敗戦を受け止めた。

 神谷は、この選手権に出場した選手の中でも異色の経歴の持ち主だ。東京ヴェルディのジュニアユースからユースへ昇格すると、プロ入りを目指していた。しかし、心の中で大きかったのが、高校サッカーへの思いだ。ユースへの昇格を前にしたころ、テレビで何げなく見た第88回全国高校サッカー選手権大会で、青森山田の中心選手として活躍し、準優勝に導いた2年生MF柴崎岳(現鹿島)のプレーに魅了された。ユースへ昇格したものの、その鮮烈な記憶は離れなかった。

 一大決心をしたのが、高校2年の1月。ちょうど、1年前のことだ。東京Vのユースを離れ、青森山田に転入した。そして、1年後のこの大会で柴崎のように活躍する未来を夢見て、練習に励んできた。大会前には、J1湘南への加入内定も勝ち取った。プロへの道と選手権への憧れの両方を手にして、一度きりの晴れ舞台で全てを出し尽くした。

「本当にこの選手権は、成長できる舞台だと感じましたし、その実感があります。僕は、青森山田に進んだのは一番いい選択だったと思います。サッカーをやっていて、一番濃い1年間でした。もしかしたら、僕のようにする選手がこれから出るかもしれないですけど、相当な覚悟がいることです。それでも、プロになることもできた。そして、全国で3位になれて、悔いは全くありません」

 

page1 page2 page3

今、あなたにオススメ

トレンド