“降格危機”ブレーメン、大迫が鼓舞も守備崩壊 監督も嘆き「破滅的なパフォーマンス」

独誌も“無抵抗”な守備に「ブンデスリーガレベルではない」

 試合後、大迫はうつむきながら控え室へと足早に姿を消した。テレビインタビューを受けたMFデイヴィ・クラーセンは「分からない」と繰り返し、ミックスゾーンではMFレオナルド・ビッテンコートが地元記者の質問になんとか答えを出そうとしていた。

 説明のしようがないほど酷かった。コーフェルト監督も、「前半は説明のしようもない。破滅的なパフォーマンスだった。謝って許されるものではない」と嘆く。とはいえ、愚痴りあっていても仕方がない。次のケルン戦で、なんとかして勝たなければならない。そのことだけがテーマになる。

 ビッテンコートは、自分に言い聞かせるように語っていた。

「残留を争う相手との試合だ。冬休みに入る前に、なんとしても勝ち点3を取らなきゃいけない。そうしたら後半戦で、まだ17試合残っている。下から這い上がっていくために、そこから解放されるための試合が残されているんだ。残留争いだ。今度のケルン戦、そして後半戦開始から3試合は勝ち点を取らなければならない相手との試合が続く。今季を良い形で終われるように、ここをなんとか乗り越えなければならない」

 だが、勝ち点3の獲得が求められた重要な一戦を乗り越えることはできなかった。

 21日の第17節、2連勝中のケルンに0-1で敗戦。この試合唯一の失点シーンは、現在のブレーメンを象徴しているかのような惨劇だった。守備陣からの一本のロングボールがそのまま大ピンチになる。走りこんだMFドミニク・ドレクスラーがダイレクトで折り返すと、フリーのFWジョン・コルドバが難なく流し込んだ。

 カウンターを受ける場面ではない。組織だった守備をする準備が取れているなかで、こうも簡単に失点してしまう。ドイツのサッカー専門誌「キッカー」が、「申し訳ないがブンデスリーガレベルではない」と批判せざるをえないくらいに脆かった。選手は懸命に戦っている。同点ゴールを狙って走り続ける。だが、空回りが続いていく。

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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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