韓国戦2日前の「準備」と「完敗」 劣勢生んだ“人選ミス”ともがくように闘った1人の選手

日本代表は2勝1敗でE-1選手権を終えた【写真:Yukihito Taguchi】
日本代表は2勝1敗でE-1選手権を終えた【写真:Yukihito Taguchi】

【識者コラム】韓国戦のメンバー表を見て直感 「これはまずいんじゃないかな」

 E-1選手権の韓国戦が行われた釜山アジアド主競技場の裏手にもう一つ、こぢんまりとしたスタジアムがある。韓国戦の前々日、日本代表のトレーニングはそこで行われていた。

 そのスタジアムはすり鉢の底に位置する格好で、どう頑張っても非公開練習は無理そうだ。いつもは冒頭15分だけ公開して非公開となるのだが、今回はオープンになるかもしれないと思って行ったらやっぱり全部公開だった。

 アップが終わると、チームは2組に分かれた。香港戦のグループはフィールドの外側をジョギングで周回して終了。本格的なトレーニングを行ったのは中国戦の先発組に若手を加えた、つまり韓国戦のスターティングメンバーだった。

 後方のパス回しからサイドへ展開してのクロスボールから始まり、様々なパターンをこなしていく。選手の配置からして3-4-2-1でいくのは一目瞭然。それぞれのポジションで、実戦で使う技術の感触を確かめるような練習だった。

 トレーニングのメインテーマも明確だったように思う。二つ目の練習は、1トップへのクサビからフィニッシュへ持っていく手順だった。アップの段階からクサビを意識させるメニューも入っていて、この日のメインテーマはたぶんこれなのだ。

 ただ、私はこれが韓国戦への直接的な「準備」だとは思っていなかった。正直、このメンバー(実際の韓国戦の先発)を起用するとは考えていなかったのだ。試合の2日前に準備しないでいつやるのだと言われるとそのとおりで、普通に考えればこの練習メンバーが先発である。だが、この中国戦にプレーしたセットの出来は良くなかった。次の香港戦のセットのほうがはるかにスムーズで、相手が違うとはいえ雲泥の差と言っていいぐらい。だから、てっきり香港戦のセットを中心にするものと思い込んでいた。

 香港戦は公開練習の2日前だったから、単純に休ませているだけなのだと。U字のパス回しからサイドチェンジを駆使した攻め込みや縦へのクサビは、日本代表のコンセプトの一部として、ルーティーンとしてやっているだけだろうと。

 韓国戦当日、メンバー表を見て「あ、これはまずいんじゃないかな」と思った。中国戦のセットそのまま。負傷離脱した橋本拳人に代わって、田中碧が入っているだけだ。中国戦は大会初戦で準備の時間も取れていない。だから不出来も、ある程度仕方ない。メンバーがダメだという意味ではない。「まずい」のは、大島僚太が入っていなかったからだ。

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西部謙司

1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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