J1リーグFC東京MF田邉草民の知られざる挑戦① スペイン2部で過ごした1年

気づかされた自分の課題

――パスが来ないということはありましたか?

「移籍した当初はありました。サイドでプレーをするときに、監督からはタッチライン際に張るように指示をされていました。けれど、まったく僕のサイドにはボールが展開されなかった。最初はぜんぜんボールが回ってこなかったし、ボールが来ても、いつもフリーでボールもらうことが一切なかった。それは僕自身が信頼を得られていなかったというのもあると思いますが、徐々に僕自身にも問題があることが分かりました」

――というと?

「スペインでは相手のサイドバックもバチバチ体を寄せて来るので、それを交わすポジショニングや予備動作が不十分だったんです。日本であれば、ボールを良い状態で持っていれば、相手のサイドバックはディレイをしてくれる。サイドバック自体がフリーになりたがったりするじゃないですか。でもサイドバックがどんどんつめてくる。俺が前に行こうとすると、体をガツンと寄せてくる。それまで、そういった感覚が無かったから驚きました。しかも球際は激しいし、自信が付くまでは正直、うまくいきませんでした。だから、どうやってボールもらおうかなって工夫し続けました。背後を突く動きを入れるようにしながら、だんだんボールをもらえるようになっていきました」

――ボールがもらえるようになったきっかけはありますか?

「きっかけというよりも積み重ねだと思います。だから、どこかの試合がきっかけになったわけではない。練習から徐々にできるようになってきて、それが自信になり、周りの選手からも良くなっていると言われるようになっていった。だから試合にも、ある程度自信を持って臨めるようになっていきました」

【その2に続く】

写真:CEサバデル提供

サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

 

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