鎌田大地、フランクフルト新攻撃陣での“生きる道” 幻ゴールに見た「トップ下の理想像」

“幻のゴール”にも落胆なし 「これを続けていけば、ゴールを取れるんだなと」

 そして迎えた22日のブンデスリーガ第5節ドルトムント戦。この日はベンチスタートとなった鎌田は、1-2の後半22分から途中出場すると、ドリブルからシュートに持ち込むなど精力的な動きを見せどんどんチャンスに絡んでいく。そして同43分、鎌田が同点ゴールを生み出した。

 右サイドのDFティモシー・チャンドラーからの大きなクロスを、オーバーラップしていたDFマルティン・ヒンターエッガーが折り返すと、ボールはファーポストでフリーになっていた鎌田のもとへと流れてくる。体勢を崩しながら右足で放ったシュートはゴール方向へ飛び、必死に守ろうとするドルトムントMFトーマス・デラネイが足を伸ばしたが、クリアしきることができずにボールはゴールへ吸い込まれていった。

 鎌田は立ち上がり、ゴールを確認すると、ファンの歓声を全身に浴びながら両手を突き出して歓喜を爆発させた。チームメートがみんな駆け寄ってくる。記録上はオウンゴールになったが、勝ち点1を手繰り寄せる貴重なプレーとなった。

 試合後の鎌田は、まずチームの結果を喜び、改めて手応えを口にしていた。

「僕のゴールではなくなりましたけど、僕自身はゴールにすごく近づけていると思うし、普通にこれからも(このプレーを)続けていけば、ゴールを取れるんだなと思っているので」

 27日には、もう次の試合がやってくる。アウェーでのリーグ第6節ウニオン・ベルリン戦だ。この日、勝ち取った勝ち点1を無駄にしないためにも、このウニオン戦では勝利が求められる。昇格チームである相手は守備ブロックを作り、球際では常に情熱的で激しいプレーをしてくることが予想されるだけに、攻撃に変化を加えるキープレーヤーとして、鎌田のプレーが重要になってくるはずだ。

中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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