日本代表に流れる「パスサッカーのDNA」 ミャンマー戦に見た伝統と“感覚”に頼る傾向

体力が決め手になる「縦に速い攻撃」、日本人には“違和感”のある戦法

 縦に速い攻撃をするには技術も必要だが、決め手はむしろ体力だ。ロングパスを瞬時に蹴る筋力、FWの走力。そして攻撃方法としてはけっこうラフなので相手ボールになる確率は高く、その時は素早く帰陣する体力も求められる。技術、判断、体力のどの点でも日本人選手にはやりにくい、違和感のある戦法だった。

 ハリルホジッチ解任後に就任した西野朗監督は、時間がないこともあって選手に違和感のないスタイルでチームをまとめ、ロシアW杯ではベスト16まで勝ち上がり、日本サッカー協会は「ジャパンズ・ウェイ」だと言って喜んでいた。チョー・ディンの植え付けたDNAが、ハリルホジッチが持ち込もうとしたイングランド式っぽいものにアレルギー反応を出して駆逐したという解釈は、考えすぎだろうか。

 カタールW杯アジア2次予選、日本はチョー・ディンの母国ミャンマーに2-0で勝利して初戦を飾っている。中島翔哉や堂安律が深く下がってボールを預かり、中央の密集地帯へ突入する攻撃をしていたが、あまり効率的とはいえず後半は0-0だった。

 日本サッカーのDNAに従って素のままでプレーすると、だいたいああいう感じになる。現状の力をそのまま無理なく、思うがままに発揮できるという意味では、確かに「ジャパンズ・ウェイ」かもしれない。ただ、チョー・ディンは英文で日本人向けに初の技術書を書いていて、シュートにも「三角法」を用いて説くなど、エンジニアらしい理論派だった。それからすると、現在の日本代表はやや“感覚”に流れすぎているのかもしれない。

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(西部謙司 / Kenji Nishibe)


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西部謙司

1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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