【ベスト4決定】 メッシが見せた“オフ・ザ・ボール”のチャンスメイク

 

メッシをトップ下に置くアドバンテージ

 メッシという世界最高レベルの選手の一人がいることで、相手のディフェンスは嫌でも彼に注意を引きつけられる。そのため、若干中央にポジションが傾く。すると、仮にDFがブロックを作って待ち構えていても、周囲の選手、特にサイドの選手には数歩分の余裕ができる。ポゼッションをしなければならない時に、サイドからボールを運ぶことができれば、リスクマネージメントと同時に前へボールを運ぶことができるので試合を優位に進められる。

 この試合ではアルゼンチンが先制したことで、後半はベルギーがボールを持つ時間が増えてしまったが、前半はアルゼンチンがメッシを利用したポゼッションでボールを危なげなく動かしていた。

 アルゼンチンにアドバンテージをもたらしたのが、メッシのポジショニングだ。彼がポジションを固定することなく、相手の中盤とDFラインの間をふらふらと左右に動き、ブロックの前に出たり、DFラインの裏に抜けたりすることで、フリーマンとして数的優位な場面を数多く作った。さらに、この動きでDFの意識を自らに引きつけ、守備ブロックの狭いスペースの中で味方の選手が働けるスペースを生み出し、パスコースを空けることに成功していたのだ。この一連のプレーは、バルセロナの中盤がパス回しの際に頻繁に使うフットサルを応用した基本的なプレー。メッシはこれまで代表戦に比べ、このオフ・ザ・ボールの動きを、つまりはクラブで練習している基本プレーを効果的に活用した。

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