【ベスト4決定】 メッシが見せた“オフ・ザ・ボール”のチャンスメイク

 

仕掛けを抑制し、ゲームメイクに徹したメッシ

 

 この試合、メッシがドリブルで仕掛けるシーンがほとんど見られなかった。目立ったと言えば、最後に訪れたGKクルトワとの1対1のシーンぐらいだった。逆に、ベルギーは“メッシの仕掛け”というボールを奪うポイントを失い、試合を通じて困惑することとなった。

 メッシは決勝トーナメント一回戦のスイス戦と同様、トップ下に入った。スイスはメッシ対策を敷き、アルゼンチンは崩しどころを見つけられず、彼らの戦術にはまってしまった。結果的に延長にもつれ込んだ末に勝利したが、アルゼンチンにとってはこの経験が生きることになった。

 試合前にベルギーのDFファンブイテンが所属するバイエルン・ミュンヘンのグアルディオラ監督からメッシ対策を聞いた、という記事を読んだが真相はわからない。ただ、アルゼンチンのサベーラ監督もスイス戦で見せてしまったメッシのボールロストのパターンを分析していた。さらに、ベルギーの得意な攻撃パターンはボールを奪ってからの加速度的なカウンターだということも理解済みだった。試合を観る限り、メッシには「中盤でしっかりボールをキープし、うまくパスをさばくプレーメーカーに徹すること」という指示が出ていたように思われる。

 だから、メッシが仕掛けるシーンが極端に少なく、パサーとしてボールをさばくシーンが多かったのだ。前半8分のゴールシーンはベルギーのDFコンパニーが中盤で出したパスをカットし、メッシが回転しながらボールをキープしてタメを作ることで、右サイドバックのサバレタが上がる時間を作れたことが大きい。それが右サイドのディマリアに渡り、ベルギーのDFブロックが下がりつつ右にスライドせざるを得なくなった。そこでフリーになったFWイグアインのところに偶発的にボールが舞い込んできた。ダイレクトで打たなければ決められない、そのタイミングで右足を振りきったイグアインのシュートもさすがだが、もとをたどればメッシのキープ力から生まれたゴールだった。

 

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