“ジェラードの後継者”という呪縛 「500年の歴史で最も困難な仕事」を乗り越えた栄冠

リバプールの主将MFヘンダーソン【写真:Getty Images】
リバプールの主将MFヘンダーソン【写真:Getty Images】

主将としてビッグイヤーを掲げたヘンダーソン ジェラードから引き継いだキャプテンマークの重圧

 UEFAチャンピオンズリーグ(CL)の優勝セレモニーで最後尾に並んでいたリバプールのイングランド代表MFジョーダン・ヘンダーソンは、首に優勝メダルをかけられると、赤いテープの巻かれたトロフィーを手渡された。それに軽く唇を当て、チームメートの待つ壇上へと歩み寄ると、歓喜を爆発させる雄叫びとともに力強くビッグイヤーを天に掲げた。

 リバプールは現地時間1日、CL決勝でトットナムと対戦し、2-0で勝利。14シーズンぶり6度目の欧州制覇を成し遂げた。主将ヘンダーソンは、90分間を通して全身全霊の死力を尽くして走り抜いた。優勝が決した試合終了直後、常に大声を上げ仲間を鼓舞し、時には怒鳴り声で檄を飛ばしてきた闘将は、号泣してピッチに崩れ落ちた。

 リバプールにおける主将という役割は、他のクラブとは異なる特別な意味が込められている。決して容易いタスクではない。リバプールでキャプテンマークを腕に巻くというのは、最も過酷な道のりを辿ることを示す。なぜなら、前任者はリバプールの英雄である、元イングランド代表MFスティーブン・ジェラード(現レンジャーズ監督)だからだ。

 リバプールの下部組織で育ったジェラードは、そのままトップチームのキャプテンを担い、2005年には今でも伝説として語り継がれる“イスタンブールの奇跡”の立役者として欧州制覇を達成し、ビッグイヤーを掲げた。ユース出身、圧倒的なカリスマ性、熱きキャプテンシー。ファンの誰からも愛される絶対的な存在だった。

 一方、ヘンダーソンは2011年に期待の若手としてリバプールへと加入したが、ビッグクラブの壁にぶつかり、翌年に発足したブレンダン・ロジャース体制では事実上の戦力外通告も受けていた。必要とされない厳しい状況に追い込まれたヘンダーソンだったが、それでも残留を決意し、リバプールで戦う姿勢を貫いた。攻守にわたり縦横無尽に走り切り、泥臭いハードワークを惜しまなかった。背中で引っ張る寡黙なジェラードに対し、ヘンダーソンは誰よりもピッチで声を張り上げチームを後押しし続けた。

 その積み重ねの結果、ヘンダーソンは副主将という重要な役回りまで託される立場となった。決して技術力に長けたタイプでもなく、中盤選手の中でもゴールやアシストの数で劣っていたが、それでも、それ以上の存在価値をピッチ内外で体現し、信頼と出場機会を勝ち取ったのだ。

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