日韓W杯関係者が明かすFIFAブラッター会長の素顔 「トップに立つような人間ではなかった」

田嶋氏が疑惑の会長を支持した事実

――この先、FIFAが変わるために必要なことは何でしょう?

「今回、最も大きな影響を受けたのはイメージの問題です。すでにW杯の公式スポンサーであるVISAが『契約打ち切りもある』という姿勢を示していますが、FIFAはスポーツが持っている”フェア”という商品力を落としてしまいました。

 このイメージを回復できなければ、さらなるスポンサー離れを招くでしょう。1つの対策としては、FIFAがその本部を法律の甘いスイスから、アメリカに移すこと。実現の可能性は高くありませんが、それくらいの動きを見せれば周りも納得するかもしれません」

――FIFAは来年2月26日に会長選挙を行う予定です。

「1つ気にしているのは、誰が次の会長になったとしても、AFC選出の理事である田嶋幸三さんがブラッターさんに一票投じたという事実は残るということ。疑惑の会長を支持した理事が改革を進めるであろう新会長から重用される可能性は低いでしょう。

 ブラッターさんと良好な関係を築いてきた小倉純二名誉会長をはじめ、日本サッカー協会は今後、不利な状況となった時、どう責任を取っていくのか。こちらの動きも注視していきたいと思っています」

◇広瀬一郎(ひろせ・いちろう)

1955年9月16日、静岡県生まれ。東京大学卒業後、80年に電通に入社。94年に日韓ワールドカップ招致委員会事務局へ出向、99年にJリーグ経営諮問委員会の委員に就任するなど、スポーツ分野で幅広く活躍。2004年にスポーツ総合研究所を設立し、所長に就任。江戸川大学(~08年)、多摩大学(~13年)で教授を務める。その他、各大学で講師を務め、各地で多くの公演を行う。

【了】

佐口賢作●文 text by Kensaku Saguchi

ゲッティイメージズ●写真 photo by Gettyimages

 

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