好きこそモノの上手なれ めぐが巡るスペイン育成ダイアリー Vol.3 「大一番で噴出した課題」

選手たちに伝えたハーフタイムの指示

 ハーフタイムにロベルト監督が指示したのは、2つの注意点だった。一つは、守備について。「相手のビルドアップのときに簡単に交わされすぎだ。だからそこを調整していくこと」。そして、選手たちには攻撃のタスクを与えた。
「相手のセンターバックの裏を使って深みをとろう」。
 バルサの右アタッカーであるムボウラについては、試合前から警戒していたという。
「彼がすごくスピードもテクニックもあるということを知っていたから、センターバックや中盤が守備時にカバーリングへ入ることを意識させていた。けれど、スタートダッシュで彼はいつも僕たちに勝っていた」
 後半は、開始わずか1分で勢いに乗ったバルサにすぐさま失点を与えてしまう。下を向く選手たちをロベルト監督は、声を張り上げて鼓舞した。
「持つべき競争力を持つことできず、それが現れた。もっと闘ってほしかった」
 ロベルトのその不安は的中する。中盤で巧みな動きを見せるバルサの選手に対し、引き気味のエスパニョール。そうした図式が続く中でマークをうまくはめることができず、ボールを意図的に回すバルサペースで試合が進んでいく。
 そんな中、後半9分に右サイドを崩されて逆サイドにパスが通り、キーパーも完全に外された状態でゴールを決められて3-0。さらに後半17分には3点目とほぼ同じ形の、ダメ押しとなる4点目をたたき込まれてしまう。それまで必死にチームをベンチから励まし続けていたロベルト監督もおとなしくなってしまった。

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