「自分がパイオニアになりたい」 なでしこ籾木が“サッカー×ビジネス”を追求する理由

「なんとかしなきゃいけない」という思いはあるが、行動に移し切れていないのが現状だという【写真:(C)NIKE】
「なんとかしなきゃいけない」という思いはあるが、行動に移し切れていないのが現状だという【写真:(C)NIKE】

自分ができることはなんだろうと迷っている選手を「自分の行動で巻き込んでいきたい」

 2011年、日本女子代表はドイツで開催された女子ワールドカップで見事に大会初優勝。最後まで諦めずに戦う姿は人々の感動を呼び、「なでしこジャパン」の愛称はサッカーファン以外にも広く知られるようになった。一大ブームを呼び、12年のロンドン五輪でも銀メダルに輝いたが、その後女子サッカーの人気は徐々に下降線を辿り、16年のリオデジャネイロ五輪は4大会ぶりに本戦出場を逃した。

 なでしこジャパン復権のためにも、国内リーグの強化・繁栄は不可欠だが、籾木によればなでしこリーグに所属する全選手が「課題を感じている」一方で、その思いを行動に移し切れていないのが現状だという。

「女子サッカーはプロではない分、続けたいと思えば続けられる環境にあります。もちろん、みんなサッカーが大好きというのが大前提ですが、それ以外にやることがなくて、サッカーが逃げ道になってしまいかねない状況は女子サッカーの課題だと感じています。

 選手たちも『なんとかしなきゃいけない』という思いは持っていて、実際に仕事や勉強と両立している人もいる。ただ、なでしこリーグを変えていくために、自分ができることはなんだろうと迷っている選手が大多数かな、と。行動を起こしたいけどできないというのが現状なので、スポーツビジネスを学んできた私が行動で巻き込んでいきたいです」

 その一つの代表例が、昨年10月の「5000人満員プロジェクト」だろう。ベレーザは4連覇を懸けたリーグ第16節のINAC神戸レオネッサ戦で5000人集客を掲げ、籾木はそのプロデューサーとして、プレミアムシートや選手視点で企画したオリジナルグッズ、参加体験型のイベントを展開して来場を呼び掛けた。結果的に、観客動員4663人と惜しくも目標には届かなかったが、選手ながら集客のプロデュースを行うという革新的な取り組みは大きな話題を呼んだ。

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