【W杯詳細分析・ポルトガル―アメリカ】前半はアメリカ、後半はポルトガルのゲーム 死闘の裏で見られたアメリカの決定的な“変化”とは

95分目にようやく輝きを取り戻したC・ロナウド

 アメリカのポゼッションは44%まで急激に落ちた。クロスはアメリカの7本に対してポルトガルは17本のクロスを上げ、シュートも倍の12本を放った。ポルトガルが急激に良くなったというより、後半アメリカの運動量が減ったという方が正しい。

 後半の試合の様子を表すイラストを見てみよう。

  アメポル後半

 ポルトガルのディフェンシブサード(ピッチを縦方向に三等分した時に自陣のゴールに近い三分の一のエリアを指す)でのプレー比率は0.8%減っただけだが、ミドルサードでのプレーは大幅に減り、その分アタッキングサードでのプレーが30.5%に増えた。

 アメリカは前半と比較して相手にボールを持たれてしまったがナニとクリスチアーノ・ロナウドという2人のキープレーヤーのケアを怠ることはなかった。ポルトガルはチーム全体で88%のパスを成功させたが、ナニとクリスチアーノ・ロナウドのパス成功率はそれぞれ66.7%と73.5%と平均を大きく下回った。敵陣でのパスに限るとクリスチアーノ・ロナウドの成功率は66.7%まで落ちている。

 クロスを見るとサイドでプレーしたナニが上げたクロスは6本で味方が触ったのは2本。クリスチアーノ・ロナウドは僅か1本しかクロスを上げていない。注意していた選手への仕事を限定することに十分成功しているように見えた。しかしサッカーは試合終了のホイッスルが聞こえるまで何が起こるか分からない。クリスチアーノ・ロナウドから90分+5分に上げられたクロスはバレラのゴールを導き、ポルトガルの決勝トーナメント進出への夢を僅かながらもつなぐ貴重なアシストとなった。

 アメリカとポルトガルの6度目の試合は2-2の引き分けに終わり、通算成績は2勝2敗2分け、双方7得点ずつと未だ五分五分だ。Broken nose(折れた鼻)のキャプテン、デンプシーが執念で上げた1点、95分目にようやく輝きを取り戻したクリスチアーノ・ロナウドのアシストでの同点ゴール。それぞれの得点の重みはグループリーグ最終戦が終わった時に分かるはずだ。

 アメリカはクリンスマン監督がかつて指揮を執った母国ドイツと、ポルトガルはその強豪ドイツに一歩も引かなかったガーナとの一戦だ。そこではサッカーのスタイルを超えた国の威信を背負った戦いが見られるはずだ。

analyzed by ZONE World Cup Analyzing Team
データ提供元:opta

【了】

サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

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