大迫の“2得点だけではない”別格の輝き 怪我明けのアジア杯初戦で再認識した重要性

見事なテクニックと的確なポジショニングから2ゴール

 後半11分の1点目はボランチの柴崎を起点にセンターバックの槙野智章、ややインサイドにポジションを取った長友とつなぎ、左の大外で受けた原口が2人の相手選手を引きつけて中にグラウンダーのボールを入れると、大迫は右足のファーストタッチから左足のインサイドにボールを引っかけて切り返し、それまで日本の前に立ちはだかっていたリベロのザファル・ババジャノフを見事に外して右足でゴールに蹴り込んだ。

 その4分後に決めた2点目は、吉田麻也の展開したロングパスを原口が左からヘッドで中に折り返し、そこに飛び込んだ長友が左足でゴール前に送ったボールをフリーで押し込んだ形。この場面でもトルクメニスタンのディフェンスがサイドに引っ張られる状況で、大迫はしっかりとファーサイドにポジションを取り、長友の出したボールに合わせている。

 さらに同26分には、堂安のアジアカップ最年少となる貴重なゴールをお膳立てした。日本が押し込んだ状態から柴崎が縦パスを入れるが、相手のディフェンスにカットされてしまう。しかし、そのボールを上手く大迫が拾い南野へ。そこから南野がワンタッチで左に出すと、右サイドからペナルティーエリア内の左に流れていた堂安が受け、反転気味のターンから左足を振り抜いた。

 同34分に味方のミスからカウンターを受けて、GK権田修一のファウルでPKにより失点。1点差とされたが大迫のロングボールを限定するディフェンスとボールを失わないポストプレーは、緊迫したゲーム終盤でも日本を助けた。

 怪我明けで初戦から90分間プレーしたことは、今後を考えると多少の不安要素ではあるが、どんなシチュエーションになろうとも大迫はロシア・ワールドカップに引き続き、日本代表の前線に欠かせない存在。試合を重ねるごとに、その重要性はよりクローズアップされていくはずだ。

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(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)



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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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