Jリーグが挑む「外国籍枠」と「育成」の二大改革 日本特有の“伝統”を変えられるか

J2リーグ以下が“若手の登竜門”の役割を果たせていない現実

 Jリーグ創設25年間で、日本サッカーは確実に底上げされた。ただし、なかなか変わらないのは伝統的なマインドだ。チャンスを与えれば飛躍する可能性を秘めた若い才能より、安全なベテランで結果を担保しようとする。その結果、選手の成熟が遅れ、総体的に晩成傾向が強まる。

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 ホームグロウン制度(12歳から21歳の間、3シーズン又は36カ月以上、自クラブで登録していた選手を既定の人数以上トップ登録する等の定義)は、こうした目先の結果追求に歯止めをかけ、育成強化を促す施策なのだろうが、あまりに緩い。J2以下については、実施されるのが2022年以降なのだという。

 しかし日本の大きな課題は、下部リーグがほとんど登竜門の役割を果たしていないことだ。J2最終節を見ても、スタメン平均年齢が25歳を切るチームは皆無で、逆に30歳を超える讃岐が降格し、京都も19位と低迷した。実績より未来を重視する習慣が浸透しないと、成長は加速しない。Jリーグには、さらに世界基準を意識し、スピード感を持った大胆な施策が必要だ。

(加部 究 / Kiwamu Kabe)



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加部 究

かべ・きわむ/1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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