バルサを攻略した驚きの「堅守遅攻」 ベティスの信念が“クライフ哲学”を凌駕した日

ベティスは第12節の敵地バルサ戦で4-3の勝利を収めた【写真:Getty Images】
ベティスは第12節の敵地バルサ戦で4-3の勝利を収めた【写真:Getty Images】

他チームと異なった“対バルサ戦略”、キケ・セティエン監督が貫いたボール保持

 リーガ・エスパニョーラ第12節、バルセロナがカンプ・ノウで3-4の敗戦を喫した。勝ったベティスはリーグ戦4試合白星なし、バルサに勝っても順位は12位にとどまっている。今季得点力不足に悩んでいたベティスが、4得点を奪うというのも驚きだった。

 ベティスの“対バルサ戦略”は、多くのチームとは異なっていた。

「我々には我々のプレーメカニズムがあり、(カンプ・ノウでは)それを上手く使うことができる」(キケ・セティエン監督)

 ベティスはボールを保持して攻撃するスタイルだが、カンプ・ノウでのバルサは当然ボールを保持して攻撃してくる。つまり、双方が攻め合う展開が予想される。同じスタイルの対戦では格上が圧倒しがちだが、ベティスが彼らのスタイルを「上手く使う」ことができた要因はどこにあったのだろうか。

 バルサと対戦する多くのチームが選択するのは「堅守速攻」である。どのみちボールは保持される、押し込まれる。そのかわりボールを奪えば速攻するスペースはある。普通に考えれば、特にカンプ・ノウなら、戦い方は自然と堅守速攻になるしかない。

 ベティスは押し込まれた時には5-4-1のフォーメーションで耐えた。5人の最終ラインで横幅を埋め、最後の砦を横長に築いて侵入スペースを限定した。

 ただ、これはどのチームもやる守備方法にすぎない。ベティスが特殊だったのは堅守ではなく、速攻を捨てていたことだ。ボールを奪ってもベティスは速攻を仕掛けなかった。

 もちろんまったくやらないわけではないが、ボールを失うリスクが高い時はあえて速く攻めず、早々に遅攻に切り替えていた。堅守速攻ではなく、いわば「堅守遅攻」。バルサにボールを支配させないことに意義を見出していた。あえてボールを保持してバルサに引かせ、さらにパスワークに食いつかせて裏を狙った。

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西部謙司

1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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