充実の“攻撃カルテット”、浮き彫りになった課題… 英記者が見た「日本代表の現在地」

(左から)MF堂安律、MF中島翔哉、DF冨安健洋【写真:Getty Images】
(左から)MF堂安律、MF中島翔哉、DF冨安健洋【写真:Getty Images】

堂安&中島の迫力、冨安の成長にも称賛

 堂安は主戦場となっている右サイドだけでなく左へのシフトも可能で、日本に高い柔軟性をもたらしている。大迫の強靭さと判断力は他の選手をコントロールすることができ、その舵取りへの信頼は厚い。また、中島はドリブルとカットインからの右足の一撃により、オン・ザ・ボールで刺激的なものを生み出すことができる。南野の狭いスペースでの精密なコントロールは周りの選手にチャンスをもたらす。遠藤航(シント=トロイデン)と柴崎岳(ヘタフェ)の巧みなサポートを受け、日本は再び攻勢に出ることができた。

 しかし、この試合では長友佑都(ガラタサライ)の不在を猛烈に痛感することになった。佐々木翔(サンフレッチェ広島)には、ベテランDFが備えている無尽蔵なハードワークが欠けており、2011年に日本がアジアカップ優勝を成し遂げた時の左サイドバックの攻撃参加という武器が損なわれてしまっていた。佐々木はベネズエラ戦で、左サイドバックの主力ではなく、サブの立場であることを示してしまった。

 冨安健洋(シント=トロイデン)はセンターバック(CB)として成長していく姿勢を強調し、若さに反して試合を読むペースと能力を備えている。足の速さと素早い反応、さらにゴールライン際で見せたクリアはスコアレスを保った試合序盤のハイライトシーンであり、チームへの貢献度は高かった。パートナーの吉田麻也(サウサンプトン)が狡猾さと経験値を提供しているが、このままいくとW杯でレギュラーだった昌子源(鹿島アントラーズ)は、CBのポジションを取り戻すことが難しくなるかもしれない。

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マイケル・チャーチ

アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。

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