ソン・フンミンの振る舞いが韓国で話題 “握手拒否”で非難の同僚に見せた気遣いとは?

韓国代表FWソン・フンミン【写真:Getty Images】
韓国代表FWソン・フンミン【写真:Getty Images】

ウズベキスタンとの死闘を制し、アジア大会4強進出 決勝PKのシーンに脚光

 インドネシアで開催されているアジア大会男子サッカーの準々決勝で、U-23韓国代表がU-23ウズベキスタン代表に4-3で勝利した。激しい点の取り合いとなった一戦は、韓国が二度先行しながら後半の連続失点で2-3とウズベキスタンに逆転を許す熾烈な展開に。後半30分にFWファン・ウィジョ(ガンバ大阪)のハットトリックとなる一撃で3-3の同点に追いつくと、延長後半12分にFWファン・ヒチャン(ザルツブルク)がPKを決めて4-3と再逆転し、準決勝に駒を進めた。

 この試合では今大会二度目となるハットトリックを達成したファン・ウィジョに注目が集まっているが、同じオーバーエイジ枠(OA枠/24歳以上の選手を各チーム3名まで登録可能)で参戦しているエースFWソン・フンミン(トットナム)も奮闘。特に試合中の彼の行動が、韓国メディアで話題になっている。

 そのシーンは、延長後半11分にファン・ウィジョがペナルティーエリア内でPKを獲得した後のシーンだった。もちろん、これを蹴るのはエースのソン・フンミンのはずだった。だが、彼はファン・ヒチャンにキッカーを譲ったのだ。

 その理由について、ソン・フンミンが韓国紙「東亜日報」の取材にこう答えている。

「実際に自分がPKを蹴ろうとしたが、ファン・ヒチャンが自信を持って『蹴る』と言ってきた。表情からは自信が見えたし、最近のファンが調子も良くなったので、自信を与えるためにも譲った」

 同紙は「ファン・ヒチャンは今大会、グループリーグのマレーシア戦で敗れた後、選手と握手を交わさずにピッチを出たことで批判を受けたり、ここまで1得点しか決められず、決定力がないことで非難されていた」と伝えているが、こうした状況を変えるためにも、ソン・フンミンはキッカーを譲ったのだ。

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金 明昱

1977年生まれ。大阪府出身の在日コリアン3世。新聞社記者、編集プロダクションなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めた後、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。2011年からは女子プロゴルフの取材も開始し、日韓の女子ゴルファーと親交を深める。現在はサッカー、ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。近著に『イ・ボミ 愛される力~日本人にいちばん愛される女性ゴルファーの行動哲学(メソッド)~』(光文社)。

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