大迫がブレーメンの“右”で示した可能性 デビュー戦でつかんだ「ゴール前に入る」感覚

ブレーメンFW大迫勇也【写真:Getty Images】
ブレーメンFW大迫勇也【写真:Getty Images】

DFB杯1回戦で公式戦初出場、チームの1点目を叩き込む

「ビルト」紙や「キッカー」誌などのドイツメディアでは、DFBポカール1回戦ヴォルマティア・ヴォルムス戦の予想スタメンに、今夏ブレーメンに移籍した日本代表FW大迫勇也の名前はまだなかった。能力の高さを認めながらも、新加入選手ながら合流時期が遅いために、まだチームになじみ切っていないという点が理由だった。MFフロリアン・カインツ、FWミロト・ラシカがプレシーズンで好プレーを披露してきたという背景もある。もしフロリアン・コーフェルト監督が似たような説明をしたとしても、納得できるものだったはずだ。

 だが、ヴォルムスとの試合でスタメン起用されたのは大迫だった。この試合の1週間前に行われたビジャレアルとのテストマッチから唯一変更されたポジションだった。それは監督が求める動きを体現できるのが大迫だったからだ。

 ブレーメンの攻撃は元ドイツ代表FWマックス・クルーゼにパスが入るところから始まる。ポジション上はCFだが、縦横無尽に動きながらパスを引き出す能力に長けている。チームメイトもクルーゼが空いたらそこに預け、それをスイッチにどんどんスペースへ飛び出していくのが狙いだ。このやり方を機能させるためには、クルーゼが空けたスペースを認知し、タイミング良くゴールに向けた動き出しができる選手が欠かせない。

 コーフェルト監督が大迫に期待している点が、まさにここだ。以前「ビルト」紙のインタビューで、「ユウヤはクラシカルなFWではない。非常に優れた技術を持ち、スペースでの動きに優れている」と称していたことがあったが、このヴォルムス戦後には「基本的なところでゴールに向けて動ける選手が欲しかったんだ」と、スタメン起用の理由を明かしていた。

 その期待通りに、この試合ではクルーゼとの縦関係からお互いにサポートし合うプレーがいくつか見られた。タイミングとポジショニングが合えば、一気にゴールを強襲できる武器になりうる可能性を示した。

 もちろん、試合開始からすべてが上手くいったわけではない。この日が初スタメン。ポジションも右のアウトサイドだ。しばらくは上手くボールをもらえない時間が続いた。相手を外してフリーになってもパスが出てこない。動き直す。すぐ後にまたフリーとなり、「パスをくれ!」とアピールはするが、自分の方を味方は見ていない。

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中野吉之伴

1977年生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで様々なレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA-Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2016-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。『ドイツ流タテの突破力』(池田書店)監修、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)執筆。最近はオフシーズンを利用して、日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。

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