大迫がブレーメンの“右”で示した可能性 デビュー戦でつかんだ「ゴール前に入る」感覚

キャンプの時から取り組んできたことが「徐々にできている」

 その後も大迫は足を止めずに、どんどん次の動きへと移っていく。サイドで待つべきか、もっと中に入っていくべきか。そうやって味方選手が狙っているエリアを探りながら、いろんな形でいろんなところに顔を出していった。試合時間が進むにつれて、パスが出てくる頻度とタイミングが良くなってきたことは大きな収穫だろう。

 試合後に大迫は「まだボールを欲しいところとか、チームとしての狙い目とかで合わないところもある。見えてきているんですけど、まだ確実じゃないというか。ただキャンプの時もすごくいろいろ考えながらやっていたので、それが徐々にできているのかなと思います」と、少なからずの手応えがあることを語ってくれた。

 そして試合の中で様々な感触をつかみながら、いろいろなプレーを試しながら、その中でゴール、しかも新天地における初の公式戦でチーム初ゴールという結果を出せたことは、間違いなく一つの成果だろう。

「もちろん、点が取れていることはすごくポジティブだし、しっかりゴール前に入れている。そこは大きいかなと思います」

 相手は4部リーグのクラブだったという声もある。だが同じ1回戦では、いくつかのブンデスリーガクラブが3部、4部リーグクラブに敗れていたり、大苦戦しているではないか。好プレーをするのも、点を取るのも当たり前というプレッシャーの中で、その通りのプレーをするのは簡単なことではないのだ。

 まずは最初のハードルはクリアした。ただこれでポジション確約というわけでもない。ここから徐々にパフォーマンスレベルを上げていくことが求められている。今週末に開幕するブンデスリーガの舞台でも、躍動する大迫のプレーを期待したい。

(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)



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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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