Jリーガーとセカンドキャリア 徳島DF井筒陸也が発信する「サッカー選手の価値」とは?

自分の仕事に「問いを立てる」

――自分のやっていることに感情移入しないというのはすごく難しいことですよね。

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「そうですね。でも、突き詰めていくにあたっては、ある程度の距離は取らなければいけないと思います。当たり前ですけど僕、サッカー大好きなんですよ。もう20年やっていることですし。でも、他の人たちにも伝わるように言語化する時や、自分事として冷静に振り返らなきゃいけない時は俯瞰して見つめ直します。

 スポーツ選手の価値といっても、世間的には『根性がある』とかそんな話に終始してしまいがちです。だからこそ、実際にスポーツに携わっている僕らが離れたところからスポーツをちゃんと見つめてあげて、外に向けて発信するという作業が大事だなと思います」

――そうして引いたところから見つめ直すと、良いところも悪いところも見えてくる、と。

「自分のやっている仕事を、自分の人生や社会にとって100%素晴らしいと感じながらやりたいと思った時こそ、そこに疑問を投げかけることがすごく自然な行為だと思っているんです。問いを立てないと結局、井の中の蛙になってしまいますから」

――面白いですね。“問いを立てる”とは、具体的にどのようなことをするのでしょうか?

「例えば『自分はサッカーをやらないほうがいい』という仮説を立てます。そして、それに関するエビデンスを取りにいくことによって、『自分がサッカーをやらないといけない』という説が強化されていく感覚があります。魅力的な人に会うと揺さぶられることもあるんです。サッカーよりも楽しそうなこと、やっているな、とか。

 だからこそ、反証を取りにいくということは本当に強く意識しています。サッカーは素晴らしい、スポーツは素晴らしいという話は集めようと思えばいくらでも集められるんですよ。でも、それは確証バイアスであって、自分に都合のいい情報ばかりあっても視野が広がりません。

 サッカー選手は給料だっていいし、チヤホヤもされるし、影響力もある。そんなことは重々承知なんですけど、さらに価値を高めて、サッカーの世界を外に発信していくためには逆説も探して検証していく必要があると思います。『サッカーは本当に素晴らしいものか?』『スポーツっていいものなんだろうか?』という問いが全ての起点になっているのかなと思います」

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