「70億分の1の“何者”かになる」 J2徳島のプロサッカー選手、井筒陸也の生き方

自分のやりたいことが分からないと言うのは「敗北宣言」

――ブログという自身のメディアを持って伝えるというなかで、意識していることはありますか?

「チームが負けている時にブログを更新することもあるんですが、これはもちろんタイミングは見計らいます。結果の出ていない時にやるのはどうなんだというのもあるんですけど、逆に言えばプレーで何もできなかった時だからこそ発信することが貢献になることもある。それであれば、素直にやっていけばいいんじゃないかと思っています。

 確かに迷う時もあります。ブログのタイトル(『敗北のスポーツ学』)もけっこう挑発的にしていますしね。キャッチーさを意識しているということもありますが、本質的なものにしたつもりです。僕自身が、めちゃくちゃサッカーが上手ければ何も考えてこなかったと思うけど、それなりに挫折も経験したからこそ今があると思っていますから。そういったなかで感じてきたものを、今後も発信し続けていきたいです」

――井筒選手はサッカー選手の新しい選手の形を見せていると思いますし、これからも見せてくれるだろうという期待感があります。

「自分が世界で一番知識がある分野って、なかなかないですよね。サッカーのことも自分より詳しい人はごまんといる。でも、誰に対しても確実に優位性を持てることは『自分自身』だと思うんですよ。自分のことは自分が一番よく知っているということは絶対なんです。誰でも絶対に70億分の1になれるんですよ。

 まずは自分のことをよく知ること。それは誰にでもできるはずなのに、意外とみんなできていない。自分のことがよく分からない、やりたいことが分からないということを平気で言う。それこそ敗北宣言です。それを言ったら何に対しても勝ち目がなくなる。僕のブログも『自分のことを知る』ということの延長線上にしかない。『自分が何者か』ということの半歩先くらいに何があるのかを突き詰めた時に、さらに見えてくるものがあると思います」

<Profile>
井筒陸也(いづつ・りくや)
1994年2月10日生(24歳)。関西学院大学の4年時にキャプテンとして全日本大学選手権、総理大臣杯、関西学生リーグ、関西学生選手権全てで優勝し、史上初の単独四冠を達成。2016年にJ2徳島ヴォルティスに加入した。プレーだけでなく、自身のSNSなどで積極的に情報発信を行う。ブログ「敗北のスポーツ学」(https://note.mu/izz_izm)がビジネスマンなど幅広い層に受けて注目を浴びている。

(石川 遼 / Ryo Ishikawa)



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