ベルギー戦で3失点を喫した「魔の25分間」 日本代表が次世代に引き継ぐ教訓とは?

相手のカウンターをいかに未然に防ぐか、受けた時にどう食い止めるか

 確かにベルギーの攻撃は完璧だったし、本田のCKを難しい状況でGKクルトワがキャッチして、フリーのデ・ブライネに出したシーンは普通のチームならクリアに逃れているところだ。ただ、そうしたプレーを日本がやらせてしまったのも事実だ。

 デ・ブライネがドリブルで直進すると山口が前方を塞ぐが、デ・ブライネはさらに直進しながら守備を下げさせて右サイドのスペースを走るムニエに通し、グラウンダーのクロスに長谷部を引き連れたFWロメル・ルカクがスルー。最後はファーからシャドリが合わせる形だったが、カウンターそのものをいかに未然に防ぐか、カウンターを受けた段階でどのように食い止めるかという二つの点で難しいシーンだった。

 日本はテストマッチのスイス戦でも同じような形から得点されており、リスク管理の意識はチームに浸透していたはずだが、こうした時間帯で、延長戦になればおそらく不利という状況で、やはり攻撃の方にチームの意識が傾いていたということもある。W杯の大舞台、決勝トーナメントでベルギーと戦えたからこそ経験できたものを、今後にどのように引き継いでいくのか。

 日本代表は大方の予想を上回る躍進を果たした一方で、MF大島僚太、GK中村航輔、DF遠藤航、植田という世界的には若手とは言えないリオデジャネイロ五輪世代の選手たちが、一度もピッチを踏まずに大会を終えたという問題もある。

 経験の引き継ぎと世代交代――。西野監督の去就は未定だが、この二つを偏りなくつなげていくことが次の体制には求められる。

(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)



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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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