ベルギー戦で3失点を喫した「魔の25分間」 日本代表が次世代に引き継ぐ教訓とは?

2-0からの“本当の勝負”、ベルギーの選手交代で劣勢に

「2-0になってメンバーもそのまま。3点目という気持ちは非常に強くありましたし、チャンスもありました。ある程度、ボールもゲームもコントロールする時間帯が直後にもありました。ただそこで、ベルギーが本気になってしまった」

 そう語る西野朗監督も、リードすればベルギーが目の色を変えてくるのは予想していたようだ。言い換えると、そこからどう押し切って試合を終えるかが、本当の勝負だったと言える。

 日本にとって難しかったのはベルギーの意識が変わっただけでなく、戦術的にも長身MFマルアン・フェライニとサイドの打開力に優れるMFナセル・シャドリを同時投入して、パワープレー色を強めてきたことだ。

 確かに攻撃では攻める姿勢を失わなかった日本だが、守備に回った時に相手の圧力が増したことで、自陣に引いた守備の時間が長くなった。押し込まれる時間が続くなかで、平均身長が10センチ近くも高いベルギーの波状攻撃を防ぎ続けることは難しい。リードを保ったまま深い時間帯になれば、DF植田直通を投入するといった対策もできたかもしれない。

 だが、冒頭で長友が悔やんだシーンから、後半24分、29分と二つともCKから、ハイボールが続いた直後のヘディングでのループシュート(フェルトンゲン)と、クロスからのヘディング(FWエデン・アザールからフェライニ)で立て続けに決められた。

 2-2に追いつかれたところで西野監督は柴崎に代えてMF山口蛍、原口に代えてMF本田圭佑という攻守のバランスを考えた2枚代えを行った。そこから本田が右サイドの高い位置でチャンスに絡み、直接FKでGKクルトワに難しいセーブを強いた。

 両チームとも交代カードを1枚残しており、西野監督は「延長も、もちろんその時点で考えていました」と振り返るが、「(90分で)決めたい気持ちはあった」とも語る。その状況で指揮官が「スーパーカウンター」と表現するベルギーの見事な攻撃が、最後の最後に決まる形で幕切れとなった。

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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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