ザンビア戦後にザッケローニ監督が浮かべた渋い表情の裏側を読み解く データが示す「ワントップ大迫」の有効性とセカンドボールで競り負ける課題

大迫のワントップが現時点では最も効果的

 

 ザックジャパンのコンセプトの一つに攻撃時の「深み」というものがある。それはトップの選手が裏を狙うことによって相手のディフェンダーを下げさせ、二列目のプレーエリアを確保することだ。

 そうしたザッケローニ監督の指示は前半を通して柿谷に届いていたはずだ。その結果何が起きたか?

 前半、香川が受けたパスは10本、本田は14本、そして岡崎は5本だけだ。岡崎は裏への飛び出しを得意とする選手だが、中央の選手の深みは岡崎の仕事場を大幅に減らしてしまった。後半、柿谷のポジションは大久保に代わったが、エネルギーに満ち溢れている大久保の動きとの相性は必ずしも良くなかった。

 後半14分に大迫がトップに入ったが、5本のパスを受け、7本のパスを味方に配給した。受けたパス以上に出したパスの本数が多いのはセカンドボール奪取が含まれているからだ。高い位置でのボールの収まりが最もよく、引いてシンプルに味方に渡すプレーもチームにリズムをもたらして、大きく貢献した。

 日本代表の流れからの得点はいずれも大迫が途中交代して以降だ。大迫は高い位置で受けようとする動きと、引いて相手ディフェンダーを引きつけて裏のスペースを空ける動きが一番分かりやすい。そのため味方が次のアクションを取りやすくなる。

 現時点でザッケローニ監督が決めきれていないポジションはワントップと右サイドハーフのはずだ。柿谷、大久保、岡崎、大迫とそれぞれ特徴を持った選手たちだが、最も重要なことはそれぞれの特徴を活かすための組み合わせとなる。相手に押されながらそれを何とかすべく苦労を重ねたベンチワークの結果、大迫のワントップが現時点では最も効果的だという一つの結論が出たように見えた。そして右サイドハーフはコンディション及び対戦相手の状況で大久保と岡崎を使い分けるはずだ。

 

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