ザンビア戦後にザッケローニ監督が浮かべた渋い表情の裏側を読み解く データが示す「ワントップ大迫」の有効性とセカンドボールで競り負ける課題

懸念材料はサイドバックの攻撃参加と、セカンドボールへの対応

 

 攻撃におけるもう一つの懸念材料はサイドバックの攻撃参加だ。長友のアタッキングサードでの関わりを見てみたい。前半は8本のパスを受け積極的にシュートを打ち、クロスを上げていたが、後半その数は半分まで減った。長友は相手が疲れた後にそこを狙えるスピードと体力が一つの持ち味だが、後半は消えている時間が長くなってしまっていた。前半の内田も高い位置での攻撃的なプレー回数は3回と非常に少なく、この試合においては両サイドバックの攻撃参加がおとなしかったと言わざるを得ない。

 最後にザッケローニ監督の渋い表情を読み解いてみたい。おそらくそのカギはセカンドボールの対応にある。

 ザンビアは個人技が高く、一人一人のプレーイングディスタンスが広いため一度ボールを持たせるとなかなかボールを奪えなかった。サイドチェンジは多用するが放り込むようなロングボールはそれほど多くなかった。特に前半は6本しか放り込むボールは無かったが、そのボールは全て日本のディフェンス陣に跳ね返されてしまっていた。

 しかしその跳ね返されたボールを3本以内に収めたのは全てザンビアの選手たちだった。後半疲れが見えてくるとそのボールは倍以上に増える。相変わらずファーストボールの競り合いには勝つのだが、次が拾えない。ルーズボールを支配されると中でプレーしている選手も、近くで見ている監督も「相手にやられてしまっている」感覚を強く持つものだ。

 本戦では間違いなく結果が重要になってくる。しかしテストマッチでは内容も大事だ。その内容が4対3の劇的な逆転勝利という結果とは別に、指揮官はザンビアにやられた感覚を与えたのだろう。

 この試合でザッケローニ監督が確信したことを初戦で実践出来れば必ず最高のスタートが切れるはずだ。(※データはZONE web編集部により独自に取得集計)

【了】

サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

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