「日本人であることに守られていたら…」 ブラジル挑戦7年目のFW東城が達した境地とは

言葉を喋れなければ「試合で使ってもらえない」

「以前にもポルトガル語は習っていたんですが、会話になると単語単語だった。ポルトガル語は勉強すればするほど難しいけど、しっかり100%覚えようと思ったんです。監督も、こいつは喋れると思えばプレーのことをいろいろと要求してくるし、アドバイスもくれる。でも喋れないと思われたら、そうはならない。

 若い時はサッカーだけやっていればいいという感覚だったし、サッカーの時はサッカーのことだけ考えていればいいけど、サッカー選手には練習以外の時間がたくさんある。大会期間中になると、練習も午前だけ。サッカー以外の時間の使い方が大事だと思うようになったんです」

 試合でゴールを決めるためには、ボールに絡まないといけない。そのためには出場時間を増やさないといけない。そのためには監督や周りの選手とのコミュニケーション能力を上げ、チーム内での信頼をつかまなければいけない――。ゴールを決めるためには何が必要かを逆算して辿っていった結果、自身の力を100%発揮するために今の自分に必要なことは、語学力を高め、コミュニケーション能力を上げることだとの結論に至ったのだという。

「若い頃は、練習でもパスを出すべきところで強引にシュートに行って失敗し、ミスをすることで冷静さを失い、その後のプレーも焦ってしまったり、慌ただしくなってしまっていた。でも、時にはパスを出して相手のプレッシャーから逃げた方がいいなという場面もある。ゴールに対して貪欲なことは大切だけど、状況に応じたプレーを選択し、空回りしないことが大切。走り回っていたら疲れるし、試合の中での時間の使い方は大事。時間帯によって選択肢を変えることも必要だと思うようになった。

 今はプレーだけなら他のブラジル人とレベルも変わらないと思っているし、周りの人も認めてくれている。じゃあ何が足りないのか。日本人の自分に一番欠けているのはコミュニケーション能力なんです。コミュニケーション能力がなければ、いくらサッカーが上手くてもやっていけないし、試合で使ってもらえない。試合に出してもらうためにはどうしたらいいか。その答えがこれでした」

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