メッシの得点を生み出す「恐怖のステップ」 一瞬の“歩幅調整”で対峙するDFを破壊

歩幅調整しただけで転んでしまうDFも…

 左方向へドリブルしながらのシュートはメッシの得意とする形で、歩幅を変えるプレーはよくやっている。そしていつもそれを見るたびに、不思議な感じがしていた。

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 メッシは2歩ほど歩幅を小さくしているだけだ。ところが対峙しているDFは、これでことごとくメッシを取り逃がしてしまうのだ。この小さなチェンジ・オブ・ペースで、DFは体の芯を抜かれたようになってしまう。転んでしまうDFも少なくない。そういえばチェルシー戦でも、メッシからかなり離れた場所を走っていたMFビクター・モーゼスがつんのめるような格好となっていた。

 メッシの武器は速さだが、歩幅は普通の選手より小さい。それで速く走れるのは足の回転が速いわけだが、DFにとってはそれだけでも対応しづらいところがある。左へ斜行する時のメッシに並走するだけでもけっこう大変そうだ。さらにメッシが歩幅を変えると、DFとしてはシュートが来ると予測してしまうのだろう。DFはシュートブロックするために体勢を低くしようとする。

 ところが、メッシはシュートせずにそのままドリブルを続ける。この時点で我慢できずにスライディングしてしまうDFも多い。倒れずに追いかけ直そうとしても、体勢が低くなりすぎて踏ん張りが効かずにやっぱり倒れてしまう人もいる。いずれにしてもメッシは、一瞬の歩幅調整だけで対峙するDFをヘロヘロにしてしまうのだ。

西部謙司

にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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