14年目を迎えた「やべっちF.C.」 番組立ち上げから携わる放送作家の思い

思い出の放送回

 なかじまには、思い出の放送回がある。12年3月11日。東日本大震災が起きてちょうど1年後の放送だった。
「やべっちF.C.ではどう見せるのか」
 答えは、その1年で感じた“サッカーの力”を形にすることだった。W杯によって日本が一つ になる姿を伝えてきた「やべっちF.C.」だからこそ、これからもサッカーを通じて一緒になろうという思いを映像に込めた。
 津波によって流された畑があった場所にフットサル場ができ、みんながそこに集まるようになった。復興作業に汗を流す迷彩服姿の自衛隊員と、少年たちがボールを追う様子も伝えた。サッカーによって広がった笑顔をスタッフが丁寧に拾い集め、企画にまとめた。
サッカーによってつながっていく姿は今思い出してもグッとくる。笑いには瞬発力がある。でも、勝てないモノがある」
 世の中のサッカー熱を敏感に感じるために感度を大切にしてきた。「テレビは面白い。恐ろしいですけどね」というなかじまには、形にしたいことがある。
「一番の理想はゴール デン番組サッカーのレギュラー番組をやりたい。0時10分は、子どもたちが寝ている時間。録画で見てもらえるのもうれしいけど、家族で見られるサッカー番組を夜の20時からやれたら日本サッカーはもっと変わる気がする。最大の目標はそこかもしれない。それが実現した時には、そのど真ん中にいたい」
 番組立ち上げ以来、「かつてないこと」にゾクゾクしてきた放送作家は、そう夢を語った。
(この記事の続きは現在発売中のサッカーマガジンZONE・6月号 「やべっちF.C.」をつくる人~何しろサッカーが好きなので~で。同号ではやべっちF.C.の矢部浩之さんら出演者のインタビューなども掲載)

【了】

馬場康平●文 text by Kohei Baba
鷹羽康博●写真 photo by Yasuhiro Takaba

page1 page2 page3

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング