日本人選手の「市場価値」は下がったのか? 代理人が明かす欧州クラブ側の評価

「今は欧州に行って日本代表になる時代」

 そして選手を送り出す側のJクラブは、考え方をより世界のスタンダードに近づけるべきだと田邊氏は提言する。

「Jクラブも今では『選手が海外に行きたいなら行かせます』というスタンスが、当たり前になっています。『うちは行かせません』では、有望な若手を獲れませんからね。あとはいつ行かせるか。少し前までなら、『うちでレギュラーになって日本代表になったら』でしたが、それではもう遅い。今は欧州に行って日本代表になる時代です。そうした時代の変化を受けて、Jクラブ側はトレーニングコンペンセーション(※注)の制度なども踏まえながら、若い選手を早く出し、利益を上げる仕組みを考えるべきでしょう」

 今季、ドイツのハンブルガーSVで柏レイソルU-18出身の20歳FW伊藤達哉が頭角を現し、話題となった。田邊氏によれば、欧州クラブは日本の高校や大学でプレーする選手を引き抜く動きも見せており、こうした事例がもし増えれば「トータルで見たら日本サッカー界の損失になる」と警鐘を鳴らす。

 日本人選手に対する評価は下がるどころか、豊かな才能を認め、原石発掘の動きも活発になり始めている。だからこそ、Jクラブ側には「ステップアップ型」の欧州移籍の流れを活用するようなビジョンが求められているようだ。

(※注)23歳以下の選手が移籍する場合、移籍先クラブはその選手が12~21歳までプレーしたクラブに対して、既定の育成補償金を支払うよう定めたFIFAルール

【了】

谷沢直也●文 text by Naoya Tanizawa(Football ZONE web編集部)

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

 

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