W杯で日本と対戦も!? 日本人元Jリーガーが語るペルーが“生まれ変わった”舞台裏

 

“ガルシラソ旋風”で地方クラブが大きく躍進

 実際、ペルーの過去10年の経済成長率は南米トップクラスの年間平均5.5%。そして、国内企業のサッカー投資に拍車をかけたのが、ペルー有数の都市クスコに09年に創設されたクラブチーム、レアル・ガルシラソの存在だ。

 地域リーグ2部からスタートしたチームは、地元企業からの出資を元手に練習環境を整え、有望な選手を獲得。わずか3年で全国1部リーグに昇格した。そして、2012年にいきなり準優勝を果たし、翌13年にはコパ・リベルタドーレスでベスト8に進出。一躍、南米中から注目を集める“ガルシラソ旋風”を巻き起こした。そんなサクセスストーリーが国内の投資家たちを刺激し、メルガルなど地方の他クラブにも効果をもたらしたのだという。

「昔はリマのウニベルシタリオ、アリアンサ・リマ、スポルティング・クリスタルがビッグ3と言われ、それ以外のチームとは力の差があったし、実際に選手のレベル、給料も違った。地方クラブには、『リマのチームには勝てない』という劣等感が染みついていた。でも今は、地方クラブがリマのチームから良い選手を高額で引き抜く時代。リーグの主役になるのも、リマよりも、高地のアドバンテージを生かせる地方クラブの方が多いくらいですよ」

 澤自身、10年前にリマ近郊にあるデポルティボ・ムニシパルでプレーしていた時代には、3カ月半の給料未払いを経験。「チームは借りている練習場にもお金を払っていなかったので、練習場にさえ入れてもらえなかった」と、チームが裕福ではなかった当時を振り返る。そんなムニシパルも今では本拠地のスタジアムを改装し、チーム専用のロッカーを設けるなど、環境を整えてくれているという。

 地方クラブからも選手が育つようになったことで、ペルー代表に名を連ねる顔ぶれも変わった。今回の大陸間プレーオフで代表に選ばれた国内組の選手たちの大半は、地方クラブ所属。国内リーグの勢力図が塗り替えられたことが、代表チームの編成にも影響をもたらしているのだ。

 

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