【戦術分析】磐田とC大阪の狙いが見えた白熱のドロー 両者の共通項は“戻るべき幹”

 

磐田は3-4-3の両WBの幅を使って展開

 では、C大阪のスライドが間に合わないように、いかにしてサイドを攻めきるのか? それは大きなサイドチェンジを使いながら、最終ラインとボランチを中心に素早くボールを動かしサイドに展開することだ。磐田は実際、大きなサイドチェンジに関しては中村の良いフィードからサイドで数的優位の状況を作り出し、素早いボール回しに関してもMF 川辺駿を軸に良い循環を生み出していた。

 磐田は3-4-3システムのメリットである両ウイングバックの幅を使い、中村のサイドチェンジと川辺の素早いボールの動かしにより、C大阪の4-4-2の守備ブロックに揺さぶりをかけ、ゴール前までボールを運べる流れを作っていた。

 そうしたなかで前半37分、C大阪が先制に成功する。たしかに“ワンチャンス”だったかもしれないが、確固たる戦術と反復練習に裏打ちされたゴールだった。C大阪のクロスは、基本的に“ニアへの速いボール”という狙いがある。クロスの出し手は迷わずニアに速いボールを送り、前線の選手はボールが入るタイミングでニアに飛び込む。この共通理解と戦術があるため、守備側が予測しても先にボールに触れてフィニッシュにつなげてくるのである。

 磐田もスカウティングでニアのクロスを頭に入れて対応していたはずだが、それを上回るクロスの質と動き出しのゴールであった。ユン・ジョンファン監督にしてみれば、まさに狙い通りのゴールであり、その後はいかに耐えながら追加点を狙って勝ち点3を奪うかが焦点だったはずだ。

 

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