W杯落選で激しい怒り「俺がここにいたら」 買取打診も“拒否”→独名門へ…27歳の決断「ギャンブルだった」

ボルシアMGへ移籍した橋岡大樹【写真:picture alliance/アフロ】
ボルシアMGへ移籍した橋岡大樹【写真:picture alliance/アフロ】

橋岡大樹はドイツ1部ボルシアMGに加入が決まった

 チェコ1部スラヴィア・プラハからドイツの名門ボルシアMGへの期限付き移籍が決まったDF橋岡大樹が、「FOOTBALL ZONE」の単独インタビューに応じた。北中米ワールドカップ(W杯)のメンバー入りを逃した27歳が味わった挫折、そして感じた日本代表への思い。ブンデスリーガ開幕直前に率直な思いを明かした。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・井上信太郎/全2回の2回目)

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 名前が呼ばれないことは分かっていた。その現実が許せなかった。2026年5月15日、北中米W杯に臨む日本代表のメンバー発表。橋岡の胸を支配したのは悲しみではなく、自分自身に対する激しい怒りだった。

「正直、自分の中では入るか、入らないかの所にはいなかったと思っていたので。何が起こるかは分からないとは思っていましたけど、僕は(3月に)追加招集で呼ばれた立場でしたし、もっと、どっちなんだろうという選手もいたので。呼ばれなかった時の悔しさというよりも、5大リーグでプレーしていない、自分の現状にすごい苛立ちを感じてしまって。もっと活躍しないとダメだろうって」

 オフで日本にいる間、自然と世界で戦う仲間の姿が目に入ってきた。テレビやSNSで、見たくなくてもW杯のニュースは流れてきた。W杯の影響力の大きさを感じると共に、悔しさが込み上げてきた。

「いやもう、素直に悔しいっていう気持ちがすごいありました。『日本代表、頑張れ』って思って見ていましたけど、やっぱりどこかで『俺がここにいたら』と考えましたし、やっぱり悔しいなと。やっぱりW杯は日本にいてもどうしても情報が入ってくるし、活躍している選手が『すごい』ってなるのを本当に痛感しました。もうW杯は終わってしまいましたけど、まだ次もあるので。本当に4年後のW杯に向けて頑張らないといけないと思いました」

 そのために必要なことも理解している。メンタルが安定している時は圧倒的なプレーができるが、それがひとたび崩れると、プレーにも影響が出てしまう。クラブでも、日本代表でも中心になるために、自らの課題と向き合おうとしている。

「自分の中では本当にもうメンタルの部分かなと思います。それこそ佐野海舟選手は毎試合安定していいプレーをしている。スーパーな時もあれば、あまり良くないと言われている時でも、平均が高いプレーができている。そこができる選手になると、またひとつレベルが上がるかなと思っているので、そこを目指してやりたいと思っています」
 
 昨シーズンの後半でその大切さを身に沁みて感じた。冬の移籍期限最終日だった2月2日、スラヴィア・プラハから出場機会を求めて、ベルギー1部ヘントに期限付き移籍を選択した。すぐさまレギュラーを掴み取ると、公式戦17試合に出場。チームをプレーオフ1に導く原動力となった。

「だいぶ大きかったですね。やっぱり半年間ずっと試合に出続けるのは、体のコンディション的にも大きかったですし、メンタル的にも自信にもつながったのかなと思っています。あの時間がなければ、今回のメングラ(ボルシアMG)の話もなかったなと思います」

 加入して1か月した頃には、ヘントは買い取りを希望した。もちろん気持ちは嬉しかったが、「まずはサッカーに集中させてほしい」とクラブには伝え、シーズン終了後に選択することにした。出した結論は「残らない」ということだった。

「本当にへントは好きだったし、すごくいいチームだった。監督やチームメートも良かったし、ポジティブには考えていたんですけど、最後は自分で残らないと。もう一か八かですよね。正直、他からどんなチームからオファーが来るかも分からないし、本当にギャンブルだったかなと思います。でも自分がその選択をしたのは、自分がもっと上に行きたいと思ったから。メングラに来ることができたのは本当に運良くいっているなと思いますけど、それも自分の決断が大事だったのかなと思っています」

 今季のボルシアMGには自身に加え、昨季から在籍する町野修斗、清水エスパルスから加入した宇野禅斗、そして復帰を果たした板倉滉と日本人4人が在籍。7月下旬に加入してから1か月弱だが、チームにも素早くフィットしている。

「通訳の方もいるので、うまく入りやすかったですね。ポランスキ監督は堅実的な方だなという印象ですし、今年から4バックにして、サイドバックには守備が求められている。ブンデスのクラブとはまだやっていないので分からない部分もありますけど、大きいFWが1枚は必ずいて、フィジカルがすごいリーグだなというイメージはありますね」

 来年1月にはサウジアラビアでアジアカップが開催される。日本代表への復帰は橋岡も視界にとらえているが、今は目の前のクラブに集中している。

「日本代表への思いはもちろんありますけど、そこも結局は自分がクラブでどれだけ活躍するかによって、ついてくるものだと思っています。まずはボルシアMGで1年を通して試合に出続けて、最高のパフォーマンスをしないといけないと思っています。4年後のW杯に出るためにも、4年後を見るんじゃなくて、自分が満足というか、やり切ったと言える1年を毎年積み重ねていきたい」

 橋岡大樹、27歳。挫折を味わったからこそ、自身と向き合えた今、新たなスタートを切る。

(FOOTBALL ZONE編集部・井上信太郎 / Shintaro Inoue)



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