24歳日本代表、ドイツ初挑戦で苦悩「忘れたことない」 勝負の2年目へ渇望する「目に見える結果」

フライブルクの鈴木唯人が語った決意
ドイツ・ブンデスリーガのフライブルクで2シーズン目を迎える日本代表MF鈴木唯人。苦難のスタートから這い上がり、確かな居場所を掴み取った昨季の経験を糧に、若きアタッカーは今季さらなる高みを見据えている。チームの勝利への貢献はもちろんのこと、「2桁得点・アシスト」という明確な数字を渇望。よりレベルの高い舞台へのステップアップへ向け、勝負の2年目に懸ける決意について聞いた。
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フライブルクでの2シーズン目を迎える鈴木は、昨季の経験を踏まえながらも、あえて「2年目だから」ということを意識しすぎないようにしている。昨季終盤には自分の持ち味を発揮できる場面が増え、チームの中で果たす役割も少しずつ大きくなっていった。
思い返すとスタートは大変だった。昨季開幕戦ではスタメン出場もチームは大敗し、鈴木のパフォーマンスも良くはなかった。その後出場機会がなかなか訪れない時期が続くものの、そこで必死で取り組み続けた時間があるから、今がある。
「決してあの時期を忘れたことはないですし、だからこそやるべきことをどんな状況でもやらなきゃなという思いもあります。体が動かなかったり、イージーなミスをしたりもありますけど、メンタル的にいい状態を保てていると思うので、いい感じかなと思います」
ドイツカップ1回戦のデュッセルドルフとの試合に5-1で勝利した後、ミックスゾーンで鈴木はそう語っていた。2年目に求めているのは、単にプレー時間を増やすことでも、自分らしいプレーを見せることだけでもない。
「去年もそう思ってやってましたけど、立ち位置も立ち位置だと思うんで、自分がやらないといけない」
その言葉の背景には、世界のトップレベルを実際に見た経験もある。ワールドカップを戦い、さまざまな選手とプレーし、あるいはそのプレーを目にする中で、自分に足りないものも感じた。
そして、鈴木は率直にこう語る。
「もちろんフライブルクって素晴らしいクラブですし、成長もすごいできていますけど、もっともっと、レベルの高いところでやりたい気持ちもあります。そういうチャンスを掴むためにも、まずはここでしっかり結果を残す気持ちもあります」
フライブルクへの感謝と、さらなる上を目指す渇望。その両方を隠さない。だからこそ、今季のテーマとして鈴木が強調するひとつが目に見えた結果だ。
「結果ですね、求めたいのは。もうちょっとしっかりとした結果、目に見える結果とともに、チームにしっかり貢献できればいいかなと思います」
具体的なイメージはあるのだろうか? 鈴木が思う目に見える結果とはなんだろうか?
「得点とかアシストで2桁いきたいなというのはあります。焦っているわけではないですけどね。あとはチームが勝つことが一番大事。そのために貢献しながら、自分ができることをちゃんとやっていくことが大事かなと思います」
その結果への意識は、テストマッチの一つの場面にも表れていた。クリスタルパレス戦ではゴール前で決定機を迎えながら、シュートを決め切れなかったシーンがあった。プレシーズンの試合とはいえ、鈴木自身はそこで満足することを良しとしない。
「全てを決められるとは思ってないです。それにああいうところに顔を出せたことは、すごいいいことだと思いますし、あれだけ綺麗な形からなったってことは、チームとしても良かったと思います。間違いなく」
ただし、その直後にはこう続ける。
「もちろんきっちり決めないといけない。練習試合だからとは言いたくない。もっと集中して練習しなきゃと感じられたから、良かったと思います」
チームに目を向ければ、昨季まで大きな存在感を示した選手が抜けたことで、攻撃の形にも変化が求められている。鈴木とともに中盤でチームを操舵し、チャンスを創出していたスイス代表MFヨハン・マンザンビは移籍した。
「彼のポテンシャルというか、一人で何でもできちゃう感じの能力っていうのは、昨シーズン助かった部分もありました。でも、チームがやろうとしているサッカーっていうのは、一人がすべて打開するようなものが求められてる感じじゃない。チームでちゃんと作って、チームでやるべきことをやっていこうみたいな話はよくしてる」
ボールをタイミングよく引き出し、攻撃にスイッチを入れていく。やるべきことは変わらない。その精度を高め、効率を高めていく。「自分が何とかしなければ」という意識だけに偏ることなく、チームの一員として結果を出すことを目指している。
クリスタルパレス戦では右サイドのニクラス・ベステからのクロスをペナルティーエリア内で胸トラップからボレーに持ち込むシーンがあった。ゴールにはならなかったが、地元記者が思わず「とても素晴らしい!」と称賛。「フライブルクで素晴らしい成長を遂げている。サッカーの楽しさをみせてくれる選手だ」と熱っぽく語っていた。
リーグ開幕前にはカンファレンスリーグのプレーオフでマザーウェル(スコットランド)戦、ドイツカップ1回戦ではデュッセルドルフ戦と公式戦が続き、短い間隔で試合をこなしている。いきなりのハイスケジュールだが、コンディションについては「トレーニングとか、かなり上がってきてたので、練習試合では体も動けていたので、悪くないかなという感触はあった」と頼もしく、手応えを口にしている。
「公式戦になると緊張感もそうだし、また違ったものがあるので。久しぶりにこんな感じになってきたなと。調整していけたらいいなと思います」
フライブルクで迎える2年目。昨季の経験を土台に、チームの中でより大きな役割を担いながら、数字という形でも存在感を示す。そして、その先にある「もっともっと、レベルの高いところ」へのチャンスをつかむために。
まず目の前の一試合、一つのプレーで結果を残すことに全力で取り組んでいく。鈴木唯人のフライブルク2年目は、さらなる飛躍のためのシーズンになるはずだ。
(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)

中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)取得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなクラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国で精力的に取材。著書に『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。




















