周りから言われた「この暑さでは危険」 父・森保監督から感謝…3兄弟が伝えたい「楽しむこと」

猛暑の中で子どもたちにサッカーの楽しさを伝えるlLISEMのしょうへい、りく、たか、しげ、けーご(左から)【写真:荻島弘一】
猛暑の中で子どもたちにサッカーの楽しさを伝えるlLISEMのしょうへい、りく、たか、しげ、けーご(左から)【写真:荻島弘一】

人気ユーチューバーのLISEMがの小学生を対象にサッカー大会を開催

 猛暑でも子どもたちにサッカーをー。人気ユーチューバーのLISEM(リゼム)が8月3日、東京・稲城長嶺フィールドで夏休みの小学生を対象にサッカー大会を開催した。7.8月に全国7会場で行われている「BRI DREAM PROJEUT COPA LISEM 2026」の東京大会で、Jリーグ下部組織や町クラブなど8チームが参加。暑さ対策を徹底した大会で、子どもたちはサッカーを楽しんだ。

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 直射日光を避けるためにピッチ回りに多くの休憩用テントを設置し、万が一に備えて冷却水なども用意、徹底した暑さ対策のもとで大会は始まった。もっとも、この日の東京は8月にしては異例の涼しさ。熱中症の心配は軽減されたが、LISEMのメンバーたちは子どもたちのプレーを見守り、声をかけ、サインや写真撮影にも応じるなど忙しく動き回った。

 LISEMは、チャンネル登録者数33万人超の人気YouTubeグループ。日本代表森保一監督の次男、圭吾(けーご)が広島ユース時代のチームメート藤井貴之(たか)、重行拓也(しげ)とともに2020年に立ち上げた。その後、森保監督の長男翔平(しょうへい)、三男陸(りく)が参加して活動している。

 メンバーのサッカーへの熱い思いが、真夏の大会開催につながった。「あえて暑さの中でやるのは、夏が子どもたちにとって大切な時期だということ。フィジカルも精神的にも成長できる季節。猛暑の中での大会開催には反対の意見もあると思うけれど、暑いからやらないのではなく、どうしたらできるかを考えました」と、けーごは説明した。

 小学生の全国大会には、5月5日のチビリンピックで決勝が行われるJA全農杯全国選抜大会と、JFA全日本U-12選手権大会がある。U-12選手権が猛暑を避けて冬休み開催へ移行して以来、夏の公式戦はなくなった。「夏の活動をやめることは、サッカー界の衰退を招く。健康面や安全面などしっかりケアした上でなら、大会をすることもありだと思う」とけーごは話す。

 参加チームには熱中症対策を徹底する。J下部組織などトップレベルのチームは意識も高く、暑さへの対応も適切だという。ただ、子どもは猛暑でも元気。試合以外の時間に炎天下で動き回ることも多い。「遊んじゃうんですよね。試合をしていないチームを見回って『今は休んでね』という声掛けもかかせません」と笑う。

 夏休みにも各地域のフェスティバルなど小学生がプレーする機会はあるが、「COPA LISEM」のように複数のスポンサーの支援を受けた全国規模の大会は珍しい。「この暑さでは危険」という声があるのも確か。それでも「事故がないように、やるしかない」と、けーごは強い責任感で言った。

 この日、大会を訪れた日本サッカー協会前副会長の林義規氏は「協会の公式大会だと難しい柔軟な運営が、民間の大会ならできる。中止や試合時間や大会方式の変更などフレキシブルに対応できる民間の大会は貴重」と話した。LISEMの猛暑への「挑戦」は注目されている。

 根底には、LISEMの活動指針でもある「楽しむ」がある。「まず自分たちが楽しんで、子どもたちにも楽しんでほしい」と、げーご。「子どもころから父に『何事も楽しめ』と言われてきた。それが今も頭にあります」。各大会の開会式では森保監督がビデオで登場。「楽しむことを忘れないで」と小学生たちにメッセージを送っている。

 大会では参加各チームから1人ずつ優秀選手を選び、LISEMチームとエキシビションマッチも行っている。ユース時代に日本一を経験し、Jリーグや海外のプロでプレーした高レベルのLISEMメンバー相手に、子どもたちがプレーを楽しむ。Youtubeで配信する動画は反響も大きいという。

 猛暑の中のサッカー。たかは「夏は成長するチャンス。夏のサッカーを啓蒙していきたい」と話し、しげも「暑いのは仕方ない。僕らの時よりもずっと暑いので。でも、できないわけではないですから」とポジティブだ。

 森保監督の息子たちも「自分たちができることを、1つ1つやっていきたい」(しょうへい)。ソサイチ(7人制サッカー)日本代表で昨年のW杯ブラジル大会ベスト8に貢献したりくは「サッカーの楽しさを伝えるのが仕事。僕らにできること、発信できることを続けていきたい」と話した。

 短期的な目標は「COPA LISEMを無事に終わらせること」。長期的には「ライトな層もターゲットに、よりいろいろな方にサッカーに触れる機会を作れればと考えています」と、けーごはユーチューバーとしての将来を見据える。「再生回数を考え過ぎず、サッカー本来の楽しさを伝えたい」ともいう。
 森保3兄弟たちの活動は「父も応援してくれています」とけーご。「違う角度からサッカーを盛り上げてくれてありがとう、と言われます。うれしいですね」。父は引き続き日本の代表を指揮し、息子たちは将来の代表選手からライトなファンまで幅広くサッカーの楽しさを伝える。

 すでに7大会中5大会を開催し、残るは20日の静岡大会と24日の茨城大会。「まずは今年の大会を無事に終え、大会を大きくしていきたいし、いずれは日本一を決めたい」と、目標は大きい。猛暑でも子どもたちにサッカーをー。LISEMの挑戦は続く。

(荻島弘一/ Hirokazu Ogishima)



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荻島弘一

おぎしま・ひろかず/1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者として五輪競技を担当。サッカーは日本リーグ時代からJリーグ発足、日本代表などを取材する。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰。20年に同新聞社を退社。

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