U-18代表のエースが大号泣「ごめん、ごめん」 6戦12発も…家族の声に「緊張がほぐれた」

U-18日本代表にも選出されている齋藤幸輝【写真:河合 拓】
U-18日本代表にも選出されている齋藤幸輝【写真:河合 拓】

全日本U-18フットサル選手権で準Vに終わったバルドラール浦安テルセーロ・齋藤幸輝

 秋田県のナイスアリーナで7月23日から26日にかけて開催された第13回全日本U-18フットサル選手権で、バルドラール浦安テルセーロは2年ぶり3度目の決勝に臨んだ。大会4連覇を目指すフウガドールすみだファルコンズに挑んだ浦安だったが、3-4で競り負けて悲願の初優勝はまたしても阻まれた。

 試合終了のブザーが鳴り響き、勝者の爆発的な歓喜が収まったピッチに、一人の嗚咽が響いた。試合後のピッチで号泣していたのは、浦安のエースであるFP齋藤幸輝だった。2年前の決勝でもすみだに敗れていた齋藤は、高校3年生で迎える今大会でのリベンジを誓っていた。

 フットサルを始めて1年でU-18フットサル日本代表にも選出され、5月30日に行われた2026-27シーズンのFリーグ開幕戦でトップチームデビューを果たす予定だった。しかし、チームの期待を集める18歳は、ウォーミングアップ中に足首を負傷して長期離脱を強いられてしまう。目標だったトップチームでの出場はもちろん、テルセーロでの試合も欠場することとなり、浦安は地域予選のほとんどを齋藤抜きで戦った。

 チームメイトたちに全国の舞台に連れてきてもらった齋藤は、23日のペティロッソ香芝U-18戦から爆発的な活躍を見せる。初戦で先制点を含む2ゴールでチームの7-0の大勝に貢献すると、「活躍して、チームを勝たせたい」「このU-18全日本選手権のなかで自分が一番すごいぞっていうのを、いろんな人に見せつけていきたい」と宣言。そして翌日から有言実行の活躍を見せる。第2節・聖和学園フットサル部戦でも1人でチームの全4ゴールを叩き出し、4-2の勝利の立役者に。同日の第3節・高知商業高校戦でも先制点を挙げて4-0の勝利を呼び込んだ。

 出場時間も長くなったが疲労の色も見せず、決勝ラウンドでも勢いは止まらない。準々決勝のユニアオU-18戦(3-1)でも2ゴールを挙げ、準決勝の作陽学園戦(3-0)でも1ゴール。決勝までの5試合でチームの全21得点のうち、約半分の10ゴールを決めた。

 2年前の決勝で敗れた相手でもあるすみだとの再戦。しかし、すみだは齋藤を徹底してマークしてきた。「(すみだには)代表候補活動で一緒にやってきたメンバーもいて、オレの弱点も知っていたり、特徴とかも知っていて、やっぱり左足は警戒されて強くこられていた。それでも前半からチャンスがあったから、そこで決めきらなければいけなかった」と、0-2のビハインドでゲームを折り返したことを悔やんだ。

 後半、「自分がやらないと」と焦りも増していた齋藤だったが、スタンドから聞こえた声で「緊張がほぐれた」という。「お兄ちゃんが『もっと動け』とか、自分へのアドバイスをしてくれた声が聞こえたんです。もともと姉と兄は今日、来る予定じゃなかったんですけど来てくれて、その声で落ち着けました」と振り返る。

 齋藤の兄・大輝は、尚志高時代に一学年下のDFチェイス・アンリとも共闘し、現在はフットサルをプレーしている。高校1年でフットサルを本格的に始めた齋藤は、「普段からアドバイスをもらっている」兄からの声に奮い立った。

 そして1-4で迎えた試合終盤、齋藤は自らボールを運んでシュートを決める。さらにパワープレーで味方にブロックに入るように指示をすると、チームメイトの助けを得て、残り22秒でこの試合2点目のゴールを決めた。しかし、あと1点が届かず、再び準優勝となった。

 試合終了のブザーまで戦いきった齋藤は、その場に崩れ落ち、人目をはばからずに号泣した。他の選手たちが整列しても立ち上がれず、キャプテンのGK黒川翔夢に促されて立ち上がったが、その後も嗚咽は止まらなかった。ベンチに戻るとチームメイトに涙声で「勝たせることができなくて、ごめん」と謝り、スタンドへの挨拶後も泣き崩れて「ごめん」「ごめん」と、優勝に導けなかった自分を責めた。

 浦安の露木健司監督は語る。「あれだけの活躍を見せたのに、それでも『自分の活躍が足りなくて、ごめん』と言える。あれが彼のメンタリティを象徴していると思います。この1年、チームは彼に引っ張られて成長しましたし、彼自身も『期待に応えよう』と成長を続けてくれました」

 6試合で12ゴール。準優勝に終わったとはいえ、今大会を「齋藤幸輝の大会」と記憶した者は、少なくないはずだ。

 表彰式でも涙が止まらなかった齋藤。それでも、この悔しさを今後の糧としていく。ここから目指すのはトップチームでのFリーグ・デビュー、そしてその先にあるフットサル日本代表入り、そしてフットサル・ワールドカップの舞台だ。

「もっとボールを受けてからのパターンを増やしていかないと、Fリーグでは活躍できないと思う。トップチームには良いピヴォが多いので、練習に参加した時にどんどん盗んで行きたい」と、現状に満足することなく課題を口にする。「もっともっとフットサル界で活躍して……今は(名古屋オーシャンズの)清水和也選手が一番すごいと思うので、そこを世代交代じゃないですけど、自分の方がすごいよって思わせたい」と野心をのぞかせた。

 試合終了から1時間ほどが過ぎ、涙も乾いた齋藤は、次の目標を見据えていた。

「浦安のU-18フットサル選手権初優勝は後輩に任せて、自分もトップチームでのタイトル獲得を目指したい。早く怪我を完治させて、Fリーグに出て、得点も決めて、日本代表コーチングスタッフに『Fリーグでもできるぞ』っていうのを、どんどん見せていきたい」

 涙を流した秋田の地から力強く新たな一歩を踏み出した齋藤。そのフットサル人生の本当の挑戦はこれから始まる。

page1 page2

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング