スウェーデンは「間延びがすごい」 首位突破へ…韋駄天が虎視眈々と狙うシーン「チャンスかなと」

スウェーデン戦のキーマンと見られる前田大然
オランダ、チュニジア相手に1勝1分けの勝ち点4を稼ぎ、北中米ワールドカップ(W杯)F組で目下、2位につけている日本代表。首位・オランダとは総得点で1点しか差がないが、オランダの最終戦の相手がすでに敗退の決まっているチュニジア。日本はまだ首位突破の可能性を残しているスウェーデンということで、決して分が良いとはいえない。
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現状では2位通過の可能性が最も高いが、2位はラウンド32でブラジルかモロッコと対戦。さらにその後はフランス、イングランドといったW杯優勝候補と次々とぶつかることになってしまう。加えて、会場もヒューストンから始まり、ニューヨーク、マイアミと未知なる会場ばかり。1位通過なら、ラウンド32は事前合宿とチュニジア戦を消化したモンテレイということで、日本には地の利がある。その後の対戦も韓国やスイスらとラウンド16を戦い、その後がドイツということで、まだくみしやすい。
森保一監督も「全ての試合に100%で挑んで勝ちに行く」というスタンスの指揮官だから、絶対に1位を狙いに行くだろう。となれば、スタメンはこれまでと大きく変化しないのではないか。もちろん3試合連続スタメンとなる伊藤洋輝、鎌田大地、中村敬斗、上田綺世らの疲労は懸念されるところ。ケガがちの伊藤や上田、年長の鎌田あたりは温存の可能性もあるが、指揮官の選手起用を注意深く見守りたい。
こうした状況下で、スウェーデン戦のキーマンになると見られるのが、オランダ戦で左シャドーに入った前田大然ではないか。というのも、オランダに1-5で大敗したスウェーデンは最終ラインのスピード対応に難があったからだ。1、2点目の失点シーンを見ても分かる通り、左右の大外からのクロスに最前線のブロビーが飛び込まれた形だが、DF陣のギャップが生まれるケースは多々あった。
「相手は5枚で守ってきますけど、こっちは3-4-3みたいな形で、2シャドーなので、シャドーに食いついたセンターバック(CB)の後ろ、3センターの脇の後ろを走ると縦ズレ、横ズレて来るのか、マンツーマンで来るのか、やってみてだと思いますけど、そのズレたタイミングでのギャップと背後。クロスもそうですけど、オランダ戦はそこを突かれていたので、意識していきたいなと思います」
これはチュニジア戦でW杯初出場を果たした後藤啓介の鋭い分析だが、前田にとってはまさに”大好物”のシチュエーション。横からのボールに鋭く反応し、DFの間に飛び込んでワンタッチで合わせるという形は、所属のセルティックでもよく見られる光景だからだ。
「オランダ戦を見ていても、オープンな試合になっていたので、よりチャンスになるかなというのは、見ていて個人的にも思いました。実際、2トップ(イサク、ギェケレシュ)と後ろの間延びがすごいので、そこはチャンスかなと。しっかりゴールだったりアシストを含め、攻守両面で貢献できればいいかなと思います」と背番号11をつける韋駄天は虎視眈々とゴールに突き進んでいく構えだ。
ご存じの通り、前田は2022年カタールW杯では最前線で起用され、ドイツ、スペイン、クロアチアの3試合に先発出場。”鬼プレス”とも称された凄まじい守備でチームに大きく貢献した。さらにクロアチア戦でリスタートから先制点をゲット。W杯スコアラーの仲間入りも果たしている。
「W杯に一度出て、『また出たい』という気持ちも強くなった。だから、自然とサッカーのことを知りたいって気持ちが湧いてきた」と本人もカタールW杯後に話していたが、セルティックで左サイドに入ってドリブル突破にチャレンジしたりと、これまでとは異なるアタッカー像を築き上げたいという意欲を示していた。
それでも、第2次森保ジャパンでは三笘薫、中村の控えに甘んじるケースが多くなり、最終予選の出番も少なかった。どんな時でも献身的な前田は決して不平不満を口にしたり、態度に表したりすることはなかったが、「このままではいけない」という強い危機感を抱いたはずだ。
そのまま今年を迎え、3月のスコットランド戦(グラスゴー)でキャプテンマークを託された。2016年に当時J2だった松本山雅FCでプロキャリアをスタートさせた頃、前田大然が代表で主将の重責を担うようになるとは想像もしなかったが、それだけの信頼を森保監督から勝ち得ていたことだけはハッキリと分かった。「あのキャプテンマークを最後に、2022年の原口元気のように本大会では外されるかもしれない」といった意地の悪い見方があったのも確かだが、前田は順当に2度目のW杯をつかみ取り、ここまで地道にコツコツとコンディションを上げてきた。
そういう人材を森保監督がここ一番で使わないはずがない。オランダ戦の先発もそうだったが、スウェーデンは前田の特徴が生きるうってつけの相手。場合によっては上田を外して背番号11を最前線に据える可能性すらある。チュニジア戦で出番がなかった分、今は非常にフレッシュだろうし、誰よりも走れる状態にある。W杯2大会連続ゴールを奪うことも十分可能なのだ。
もし前田がW杯2点目を叩き出すことができれば、稲本潤一、本田圭佑、岡崎慎司、乾貴士、堂安律、鎌田大地、そして上田に並ぶことになる。そうなれば、J2からキャリアをスタートさせた選手として偉業以外の何物でもない。古巣・松本山雅を筆頭に、下部カテゴリーでプレーしている選手たちの希望になるべく、今大会で必ず結果を出してほしい。スウェーデン戦は千載一遇のチャンスに他ならない。
(元川悦子 / Etsuko Motokawa)

元川悦子
もとかわ・えつこ/1967年、長野県松本市生まれ。千葉大学法経学部卒業後、業界紙、夕刊紙記者を経て、94年からフリーに転身。サッカーの取材を始める。日本代表は97年から本格的に追い始め、練習は非公開でも通って選手のコメントを取り、アウェー戦もほぼ現地取材。ワールドカップは94年アメリカ大会から8回連続で現地へ赴いた。近年はほかのスポーツや経済界などで活躍する人物のドキュメンタリー取材も手掛ける。著書に「僕らがサッカーボーイズだった頃1~4」(カンゼン)など。

















