スウェーデンを侮るなかれ「ジョーカーがいる」 わずか11分の出場も…地元記者絶賛「ネイマール彷彿」

スウェーデンのタハ・アリ【写真:アフロ】
スウェーデンのタハ・アリ【写真:アフロ】

スウェーデンのケルテス記者が語る現状

「日本がグループ最大のトップ候補かもしれない」――。スウェーデンの担当記者は開幕前にそう言い切った。前編に引き続き、スポーツ国営放送SVT(Sveriges Television AB)のスポーツ記者であるオリバー・ケルテス氏に日本戦の展望を聞いた。後編では、スウェーデンが描く日本対策と、ベンチから試合を変える可能性を秘めた“ジョーカー”の存在にも触れてもらった。(取材・文=林遼平/全2回の2回目)

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 北中米ワールドカップにおいてオランダ、チュニジア、スウェーデンと同組になった日本代表。その中で、グループリーグ第3戦で迎えるスウェーデンは、決勝トーナメント進出をかけた大事な一戦になる。侮れない相手であることは間違いないが、スウェーデン記者の見解はどうなのだろうか。

 スウェーデンにとって、日本戦は最も読めない一戦だという。ケルテス氏は「オランダとは過去に多く対戦してきたため、ある程度の予測が立てられます。しかし日本については、正直あまり詳しくない」と率直に認めた。その不確実性こそが、スウェーデンにとって最大の脅威になりうると考えているようだ。

「スウェーデンは日本を少し甘く見ているかもしれません。オッズでは日本がトップ候補に変わったようですが、個人的にも日本がグループ最大のトップ候補になり得ると思っています。ただ、三笘(薫)の離脱はどれほど痛いのでしょうか…。

 この試合はスウェーデンにとって最も厳しい一戦になるかもしれません。最も怖いのは、何が待ち受けているかわからない不確実性です。日本はプレッシングが得意なチームでもあります。ギリシャやノルウェーのプレッシャーさえ対処できていないのであれば、日本のプレスはさらに厳しいものになるでしょう」

 ケルテス氏は、日本を高く評価している。自国への警戒を促しながら、こう続けた。

「個人的に複数のインタビューを行ってきた中で、日本は非常にまとまったコレクティブなチームという印象を持っています。負傷してしまいましたが久保(建英)は非常に才能があり、佐野(海舟)はミッドフィールドで献身的に働くハードワーカー。上田もフェイエノールトで素晴らしいシーズンを過ごしました。そしてもちろん、ウイング陣も魅力的です。そう考えると、むしろこの試合の鍵を握るのは日本側だと思います」

 では、スウェーデンはどう日本と戦うのか。ケルテス氏は「スウェーデンはいつも組織的で、チャレンジャーとして戦い、フィジカルを活かし、カウンターを得意とするチームです。試合を支配することで成功を収めたことは一度もない」と自国のスタイルを整理したうえで、日本戦における明確なプランを示した。

「この試合でスウェーデンが持つ大きなアドバンテージのひとつは、フィジカルの強さと長身選手の多さです。日本選手をサイドに押し込み、クロスを上げさせる展開に持ち込めれば、ボックス内のデュエルでスウェーデンが優位に立てるでしょう。5バックの利点は、センターバックがウィングバックをサポートできることです。90分間、日本を相手に戦い抜くためには、ここが重要なポイントになるかもしれません」

 また、スウェーデンベンチに一人の「ジョーカー」が控えていることをケルテス氏は指摘する。国内リーグの強豪であるマルメFFのタハ・アリだ。ケルテス氏はSVTスポーツでマルメFFの試合を担当しており、アリのことを「現代の組織的なサッカーの中でほとんど姿を消してしまった、かつてのマンチェスター・ユナイテッドのナニやサントスのネイマールを彷彿とさせるタイプ」だという。

「ギリシャ戦か、他のハイライトをご覧になったかわかりませんが、スウェーデン代表で注目すべき面白い“ジョーカー”です。彼はまるで子供のような、非常に奔放なサッカーをするんです。見ていて楽しいですし、ヨーロッパレベルでも唯一無二の存在だと思っています」

 課題はスウェーデンリーグ(アルスヴェンスカン)でプレーしているという点だ。ここまで2戦目のオランダ戦で後半34分から出場したのみだが、今大会は間違いなく彼のキャリア最大の舞台となると強調した。

「出場時間はそれほど多くないと予想していますが、スウェーデンが失点して同点に追いつく必要が出てきた場合、投入されるのは彼かもしれない。注目してみてください」

 ギリシャ戦では左サイドから強烈なドリブル突破で相手を翻弄し、最後には鮮やかなアシストを記録した。もし日本が先手を取った展開になれば、この男がピッチに現れる可能性は十分にある。そこは警戒しなければならないポイントになるだろう。

 決勝トーナメントをかけた戦いが、いよいよ始まる。三笘不在という不安材料を抱えながらも、久保、佐野、上田、そしてウイング陣。コレクティブに戦う日本の強さは、現地でも確かに認識されている中、スウェーデンが仕掛けるフィジカルバトルと5バックの守備網を日本はどう打ち破るのか。答えは、ピッチの上にある。

(林 遼平 / Ryohei Hayashi)



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林 遼平

はやし・りょうへい/1987年、埼玉県生まれ。東日本大震災を機に「あとで後悔するならやりたいことはやっておこう」と、憧れだったロンドンへ語学留学。2012年のロンドン五輪を現地で観戦したことで、よりスポーツの奥深さにハマることになった。帰国後、サッカー専門新聞『EL GOLAZO』の川崎フロンターレ、湘南ベルマーレ、東京ヴェルディ担当を歴任。現在はフリーランスとして『Number Web』や『GOAL』などに寄稿している。

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