日本が証明した”ダークホース”の実力 サッカー発祥国が認めた「堅固な組織力」

ダークホースという存在感を証明した日本
『ダークホース』。
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日本とオランダ戦を英国で観て、日本を示すキーワードとなったのがこの言葉である。
元々は競馬用語で、人気薄だったのに突如として実力を発揮して、本命を出し抜いてレースに勝つ馬を指していたが、現在ではそれが人やチームにも使われる。
まずキックオフ直前に日本が「今大会のダークホース」と紹介された。
英国では地上波のITVが生放送して、元イングランド代表主将ガリー・ネビルと元アイルランド代表主将ロイ・キーンに加え、セルティック監督時代に多くの日本人を引き抜いたアンジ・ポステコグルーが解説陣に加わった。
まずは日本サッカー通のポステコグルーが口を開いた。「日本は良く知っている。ものすごい早さで進歩している国だと思う。今では代表選手のほとんどがヨーロッパでプレーしている」。そしてマンチェスター・ユナイテッドの名ライトバックだったネビルが「イングランド戦を観てコンパクトな守りとシャープな動きが印象に残った。あの高速カウンターは本当に脅威だ」と続いた。
最後に辛口批評で知られるキーンが「日本は規律が高く、運動量が落ちないチーム。オランダと言えども油断は大敵だ」と真摯な表情で話した。
やはり前回のW杯でドイツとスペインを破ったことが大きなインパクトを与えたのだろう。確かに『本命』ではないが、過去W杯決勝に3度も進出した実績があるオランダでも”苦戦する可能性がある”と英国サッカー界のビッグネームである3人が揃って示唆した。
そして結果はご存知の通り、お互いに2点を取り合っての2-2ドローとなった。ただし日本は2度も先行されて、そこから2度追いついた価値ある引き分けだった。また最後の同点弾は後半43分という土壇場で飛び出した値千金のゴール。まさに勝ちに等しい引き分けで、今後チュニジア、スウェーデンと続くグループ戦に勢いを与える結果になった。
ところがポステコグルーはこの結果でも「もっとできたと思う」ときっぱり。「本来はもっとテンポの速いサッカーをする。しかし強敵相手の初戦ということで、あまりリスクを負って攻めることはしなかった」と語って、2点を奪った日本に注文をつけた形になった。
ネビルは「オランダには少しがっかりした。守りを固める交代策を見せた後に同点に追いつかれた」と言って、逃げきれなかった欧州の強豪国に厳しい見方を示した。しかしマンチェスター・Uの先輩キーンは「いやオランダはフィジカルが強くテクニックもしっかりした平均以上のチーム。それより日本を過小評価するのは間違いだ。(グループの)一位通過は日本かも知れない」と発言。この試合を引き分けにまとめた日本の底力をしっかり認識した。
最後に元イングランド代表GKのポール・ロビンソンがBBCに投稿した一文を紹介したい。
ーー素晴らしい試合だった。ワールドカップのお手本のような一戦だった。このグループから勝ち上がるのはこの2チームだ。この対照的なスタイルを持っている日本とオランダがベスト32に進出するだろう。
試合終了直後、画面に映った両軍選手の表情も対照的だった。オランダの選手たちは落胆していた。2回も先制して、勝利を確信していたに違いない。
その一方で、日本の選手たちは歓喜していた。この試合で彼らは、このワールドカップでの飛躍を確信したことだろう。日本はブラジルやイングランドにも苦杯をなめさせた。そして今日、今回のワールドカップでも勝ち進む可能性を秘めた強豪オランダを相手に、土壇場で勝ち点1をもぎ取った。
なぜ多くの人が今大会で日本を”ダークホース”と呼ぶのか、それを改めて証明した試合になった。
彼らは堅固な組織力で結束したチームだ。監督が求める戦術を理解し、徹底したトレーニングを経て、ひとりひとりの選手がその役割を効果的にこなしているーー
このロビンソンの一文の中にも”ダークホース”という言葉が使われていた。日本はその存在感をアメリカでしっかりと示し、サッカー発祥国の英国でも決して侮れないチームとして認識され始めている。
(森 昌利 / Masatoshi Mori)
森 昌利
もり・まさとし/1962年生まれ、福岡県出身。84年からフリーランスのライターとして活動し93年に渡英。当地で英国人女性と結婚後、定住した。ロンドン市内の出版社勤務を経て、98年から再びフリーランスに。01年、FW西澤明訓のボルトン加入をきっかけに報知新聞の英国通信員となり、プレミアリーグの取材を本格的に開始。英国人の視点を意識しながら、“サッカーの母国”イングランドの現状や魅力を日本に伝えている。















