世界を驚かせた森保采配「勝ち点1以上の価値」 カタール大会再び…3か月前から考えていた“情報戦”

森保一監督【写真:ロイター】
森保一監督【写真:ロイター】

森保監督は前田大然を左シャドーに抜擢した

 日本代表は現地時間6月14日、アメリカ・テキサス州のダラス・スタジアムで、北中米ワールドカップ(W杯)グループステージF組の初戦でオランダ代表と対戦し、2-2で引き分けた。FIFAランクでは格上の強豪に対して価値ある勝ち点1をもぎ取ったが、その裏には森保一監督の徹底した“情報戦”があった。

 会見場に現れた森保監督の表情は、充実感と疲労感が入り混じっていた。「勝ち点1以上の価値があるドローだったと思います。選手たちが準備してきたことを実践してくれた。オランダは世界トップクラスで、冷静に見てFIFAランクが示す通りに埋めなければならない差があると思いますので、今日のオランダからも学んでパワーアップしたいと思います」と選手たちを称えた。

 この試合に向けて、両チームは対照的な調整を行ってきた。オランダは6月3日に国内でアルジェリアと、同8日にはニューヨークでウズベキスタンと親善試合を実施。ウズベキスタン戦前の会見で、ロナルド・クーマン監督は「論理的に考えて、日本戦でも出場するメンバーと同じ布陣で臨むことになるだろう」とウズベキスタン戦のメンバーが日本戦のベースになることを示唆。その言葉通り、同じメンバーで日本戦に臨んできた。

 イングランド・プレミアリーグのサウサンプトン時代に、クーマン監督と共に戦ったDF吉田麻也は「(クーマン監督は)オーソドックスですよ、4-3-3で。選手の能力を最大限に引き出すようなサッカーをしているので、特に変化球はあまりないのかな」と印象を語っていた。

 一方、日本は5月31日のアイスランド戦以降、一度も親善試合を行わない異例の選択をした。実戦はメキシコ・モンテレイの事前キャンプで、サポートメンバーのU-19日本代表と対戦したのみ。指揮官は「すごくよかった。非常に強度の高い試合ができたし、オランダ対策もできた。代表ファミリーの中で全体のレベルアップもできた」と事前キャンプの総括で話していたが、W杯開幕前に真剣勝負を行わない選択には賛否両論あった。

 だが森保監督はすでに3月の時点で、事前キャンプ以降は親善試合を行わないことを決めていた。「怪我をするリスクよりも集中してトレーニングしたい」。その結果、情報をシャットアウトすることに成功。アイスランド戦では出場機会のなかった前田だが、ナッシュビルのベースキャンプでの非公開練習では、シャドーで練習を重ねていた。

 1点を追う後半30分には小川航基、菅原由勢、冨安健洋を投入。攻撃時は4-4-2になる可変システムに変更し、攻勢を強めた。最近の試合では試してこなかった予想外の布陣に意表を突かれたクーマン監督は、DFを増やして5バックに変更して対応。だがより日本に押し込まれる結果となり、同点弾を許した。DF谷口彰悟は「準備が良かったからこそ、最後ああいう展開に持っていけたと思いますし、みんな戦術を理解しながら戦えたと思います」と振り返った。

 2022年のカタール大会でも、初戦のドイツ戦の後半に3バックにシステム変更し、逆転勝利に導いた森保監督。「オランダを相手にW杯の舞台で勝ち点1を取れるチームがどれだけあるか。2回もリードをされた状態で勝ち点1を取るのは簡単ではないと思いますので選手たちを称えたいし、価値ある勝ち点1だったと思います」。再び森保采配が、世界を驚かせた。

(FOOTBALL ZONE編集部・井上信太郎 / Shintaro Inoue)



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