オランダ代表の雰囲気は「良好でない噂」 現地記者が明かした懸念…攻守両面に不安「ゴールを奪えない」

オランダ人記者にチームの現状を聞いた
日本代表は現地時間6月14日(日本時間同15日)、北中米ワールドカップ(W杯)の初戦でオランダと対戦する。同国最大のサッカーメディア「Voetbal International」でリポーター、司会者、カメラジャーナリストを兼務する専属ジャーナリストのカルム・ファン・アウトへウスデン氏に、W杯本番を前にしたオランダ代表の現状を聞いた。(取材・文=林遼平/全2回の1回目)
W杯開幕を前に、オランダ代表は不安を抱えたままだ。
オランダは6月上旬に行われたアルジェリア戦では0-1で敗戦、ウズベキスタン戦は2-1で勝利したものの一度は同点に追いつかれるなど、親善試合で苦戦を強いられた。本大会直前のタイミングでこういった内容を見せてしまうことは、チームへの信頼を損なわせる。現地でチームを追い続けるアウトヘウスデン氏も、楽観的な見方はしていない。
W杯予選ではポーランド、フィンランド、リトアニア、マルタと同居したグループGを首位通過した。数字だけ見れば6勝2分で無敗と素晴らしい結果に見えるが、実態はどうだったのか。
「(突破できた)大きな理由は、フィンランド、リトアニア、マルタと同じ比較的楽なグループに入ったことです。この3か国との試合で合計18ポイントを獲得しました。難しかったのはポーランドとのホーム&アウェーだけでしたが、そこでは簡単に点が取れないという問題が絡んでいました。オランダより格下と見られるポーランド相手に2引き分けというのが現状です」
予選首位通過という結果の裏に、チームが抱える構造的な問題が透けて見える。その問題の核心を、アウトへウスデン記者は明確に言い切った。
「ゴールを奪えないことが、オランダ代表の最大の問題です」
ロビン・ファン・ペルシー、ルート・ファン・ニステルローイ、パトリック・クライファートら、かつてオランダが誇ったストライカーたちの系譜は今、途絶えている。
「現在はメンフィス・デパイに期待が集まっていますが、彼はコンディション面で苦しんでいます。ドニエル・マレンはローマで非常に高いパフォーマンスを見せているものの、代表では本来の力を発揮できていません。ボウト・ヴェグホルストはスピードに欠け、ゴールも少ない。ブライアン・ブロビーは最近調子を上げてきていますが、デパイがかつて記録していたほどの得点は挙げられていません」
いわゆる「9番」不在という問題の深刻さについても、言葉は続く。
「オレンジのユニフォームを着てネットを揺らせているのはコーディ・ガクポくらいで、ミッドフィールダーたちもチャンスを得点に結びつけられていません。守備面ではファン・ダイクも本調子ではなく、失点が多くなっています」
攻守両面で課題を抱えたまま、本大会を迎えようとしている。では、なぜオランダはこうした状況に陥っているのか。近年、国際大会でなかなか結果を残せていないことの根底にあるものを、アウトへウスデン記者はより本質的な問題として捉えている。
「一概には言えませんが、オランダではサッカーとの向き合い方が変わってきています。選手にとってどちらかというとビジネスになっており、スタジアムのファンとの強い結びつきが薄れています」
チームの一体感についても懸念を示す。
「チームにはメンタリティの面での本物の闘志が必要で、個人の集まりではなく、真の一体感を持つことが求められます。チーム内の雰囲気が必ずしも良好ではなく、強固なヒエラルキーがあるという噂もあります」
さらに、オランダ代表における指揮官やスタッフ問題にも言及した。
「より革新的な手法を持つ積極的な指揮官も必要です。例えば、今のチームにはセットプレーコーチがいません」
細部への意識が、ここ一番の試合で差を生む。タレントを擁しながら結果を出しきれない状況が続く背景には、そうした積み重ねの欠如があるのかもしれない。後編ではチームのキーマンと目される選手、そして対戦相手となる日本代表への評価について引き続き聞いていく。
(林 遼平 / Ryohei Hayashi)

林 遼平
はやし・りょうへい/1987年、埼玉県生まれ。東日本大震災を機に「あとで後悔するならやりたいことはやっておこう」と、憧れだったロンドンへ語学留学。2012年のロンドン五輪を現地で観戦したことで、よりスポーツの奥深さにハマることになった。帰国後、サッカー専門新聞『EL GOLAZO』の川崎フロンターレ、湘南ベルマーレ、東京ヴェルディ担当を歴任。現在はフリーランスとして『Number Web』や『GOAL』などに寄稿している。
















