中体連→選手権で注目…優勝メンバーに抱いた憧れ、大学で叶えたい”共演”「先輩たちと」

駒沢大学の太田修次郎【写真:安藤隆人】
駒沢大学の太田修次郎【写真:安藤隆人】

駒沢大学の2年生FW太田修次郎「ようやくチームの役に立てた」

 4月に開幕した大学サッカーリーグ戦。プロ内定選手、これからプロを目指す選手、そして大学という新たなステージに移った選手たちが、全国各地で激闘を繰り広げている。

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 ここでは、大学サッカーのステージで躍動する選手たちをピックアップしていく。今回は関東大学サッカーリーグ1部第10節、駒澤大学と桐蔭横浜大学の一戦から。3-2の逆転勝利を収めた駒澤大で、そのきっかけを作ったのは、1-2で迎えた後半23分に投入された2年生ストライカー、FW太田修次郎だった。投入から9分後、鋭い飛び出しでゴールを挙げ、これが大学リーグ初ゴールとなった。

 岡山学芸館高時代から注目を集めていたストライカーが、待望の関東1部初ゴールを叩き込んだ。後半32分、GK亀井一起のロングキックから、左サイドを駆け上がったMF池田健将にボールが渡った瞬間、太田は中央の状況を確認した。

「1つ前のプレーで同じように池田さんが突破した時に、ファーのスペースで待っていたのですが、ニアで引っかかってしまったので、『次はニアに飛び込もう』と思っていました。そうしたらもう1回同じような形になったので、ニアが空いているのを確認してから迷わず飛び込みました」

 池田から左足でグラウンダーのクロスが届くと、太田はスピードに乗ったままスライディングし、左足でボールをミート。ゴールのニアサイドに突き刺した。

「クロスが僕の足元より後ろに来たらスルーするか、すらしてファーで合わせてもらおうと思ったのですが、いいボールが足元に来たので、吹かさないようにうまく身体を倒しながら合わせることができました」

 まさに技術と判断が凝縮された同点ゴールだった。勢いに乗った駒澤大は、直後の後半35分に逆転ゴールを挙げ、勝利を手にした。

「本当にようやくチームの役に立てたと思っています」

 試合後、真っ先に発したこの言葉が、太田の心境を如実に表していた。岡山学芸館時代、太田は2年生ながらエースストライカーの座をつかみ取った。181cmのサイズ、鋭い裏への抜け出し、クロスへの多彩な飛び込み、そしてシュートスキルを武器に、チームの最前線で起点となり、フィニッシャーとしても躍動した。

 なかでも注目されたのが、太田のキャリアだった。多くの有望選手がJクラブアカデミーや街クラブ出身であるなか、太田は徳島県の鳴門市第一中、つまり中体連の部活動出身だった。「レベルの高い場所でサッカーがやりたくて岡山に来ました」と岡山学芸館に飛び込むと、1年時にチームは選手権初優勝という偉業を成し遂げた。この大会で太田は登録メンバー入りこそしていたが、ベンチ入りは一度もできなかった。

「応援していて本当にびっくりしましたし、『次は自分だ』と思いました」

 前述した通り、太田は優勝メンバーのFW今井拓人から2年時にエースの座を引き継いだ。全国優勝こそ果たせなかったが、インターハイ、選手権で躍動してみせた。そして、今井をはじめ、MF木村匡吾、FW田邉望という3人の優勝メンバーが進んだ駒澤大へ進学した。

 1年時はセカンドチームで過ごし、今季の初めは社会人リーグ登録だった。それでも、大学に入ってからフィジカルを鍛え、ロングボールに反応する一瞬のスピードや判断にも磨きをかけたことで、前への推進力はさらに増した。シンプルにゴールへ迫ることができるストライカーへと成長を遂げたことに加え、今井の負傷も重なり、チャンスが巡ってきた。

 第7節の東海大戦で試合終了間際に途中出場し、トップデビューを果たした。そこから2試合はベンチ外だったが、桐蔭横浜大戦で再びベンチ入り。2度目の途中出場で、結果を出してみせた。

「このゴールは大きなきっかけにしたいです。東海大戦は田邉さんも木村さんも交代後にピッチに立って一緒にプレーできなかったのですが、今回は田邉さんと交代でしたが、木村さんとは一緒にプレー出来たことは本当に感慨深いです。僕にとって優勝メンバーの先輩たちは高校時代からすごく尊敬をしていて、高校で出来なかった分、大学で一緒にプレーして勝利を味わいたいとずっと思っていたので、この試合を始まりにしていきたいです」

 今井が復帰すれば、当然、太田が再びベンチ外となる可能性もある。だが、太田が見据えているのは、あくまで3人と同じピッチに立つことだ。ライバルであり、憧れでもある存在だからこそ、負傷などの外的要因で出番をつかむのではなく、切磋琢磨の末に堂々と同じピッチに立つことを心から望んでいる。

「先輩たちと長くサッカーをやりたい。だからこそ、もっともっと自分を鍛えていかないといけないと思っています」

 中体連の意地、高体連の頂点、そして激しい競争を経験してきた太田の大学サッカーは、まだ始まったばかりだ。

(安藤隆人 / Takahito Ando)



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安藤隆人

あんどう・たかひと/岐阜県出身。大学卒業後、5年半の銀行員生活を経て、フリーサッカージャーナリストに。育成年代を大学1年から全国各地に足を伸ばして取材活動をスタートし、これまで本田圭佑、岡崎慎司、香川真司、南野拓実、中村敬斗など、往年の日本代表の中心メンバーを中学、高校時代から密着取材。著書は『走り続ける才能達 彼らと僕のサッカー人生』(実業之日本社)、早川史哉の半生を描いた『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』、カタールW杯のドキュメンタリー『ドーハの歓喜』、新刊は『ともに歩き出す サッカーと家族と新しい日常』(ともに徳間書店)。講演家としても全国を回っている。元・名城大学体育会蹴球部フットボールダイレクター(2022年〜2026年4月)、現・國學院大學体育連合会蹴球部コーチ。

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